舞台芸術領域、前津児童館にてプロジェクションマッピング「お絵かきの森」を開催

 舞台芸術領域は、2024年8月23日(金)・24日(土)の2日間、名古屋市前津児童館とコラボレーションしプロジェクションマッピング「お絵かきの森」を開催しました。夏休み中の子どもたちが数多く訪れ、自分の描いた絵が映し出されるたび歓声があがりました。このイベントは、前津児童館からの依頼があり実現したもの。前津児童館 館長からは「教育機関との連携事業に取り組んでいきたいと考えていました。以前からプロジェクションマッピングをやってみたいと考えており、名古屋芸術大学に相談させていただきました。学生の皆さんと子どもたちの交流もとても楽しみです」とコメントをいただきました。

 プロジェクションマッピングは、イベント・店舗向け販促支援サービスを利用したもの。子どもたちが描いた絵をその場でスキャンして取り込み、アニメーション化してプロジェクターで投影する仕組みです。会場は、前津児童館のホール(体育室)、広さがありプロジェクターを2台用意し連動させての投影となりました。映像の背景は海や森をイメージさせるもので、舞台芸術領域の学生が制作を行いました。また、投影するスクリーンは寒冷紗を使用したシースルーの布を立体的に構成し、投影される像が重なり、複雑に見えるようになっており、舞台美術のノウハウが生かされたものになっています。
 イベントの時間になり、集まった子どもたちは順に絵を描き、素早く投影、絵を重ねて増やしていきます。一度に30枚ほどの絵をあわせて投影することができるといいます。自分の描いた絵がスキャンされるとすぐに表示され、子どもたちからは歓声が上がります。同時に、スクリーンに向かって駆けだし自分の絵と一緒に遊んだり、プロジェクターの前で手影絵を行うなど、提供側が考えてもいなかった遊びが、参加した子どもたちからどんどん生まれていきました。

 舞台芸術領域舞台美術コース 3年 花井二葉さんは「手影絵で犬を作り描いた魚を食べる遊びや、スパンコールのついた服を着ている子がいてキラキラを反射させて遊ぶ子もいて、刺激になりました。自分を映してみることは想定していましたが、ほかにも新しい遊びを見つけていくのは子どもの感性なのかなと思います」と、想定以上の子どもたちの反応に大いに刺激を受けた様子。
 舞台美術コース 2年生の、諏訪天音さん、間瀬美紀さん、成瀬葉菜音さんは「先輩が参加しているのを見て、一緒になんかできればいいなと参加しました。大学生活の中でいろいろ経験できるし、いいなと思っています。子どもたちがこんなに興味を持ってくれて、すごく楽しいです」(間瀬さん)、「私は外部とのコラボ案件があればできるだけ参加しようと思っていました。弟がいるんですが、弟の小さい頃を思い出しました。私が子どもの頃には、プロジェクションマッピングもこんな技術もなく、羨ましいなと思います。良い刺激になるのではと思います」(諏訪さん)、「子どもとふれ合うことにすこし苦手意識がありました、参加した子から描いた絵を見せられ『これどう?』って声をかけてくれ、なんか楽しいなと感じました。良い経験になりました」(成瀬さん)。
 担当した石黒諭准教授は「3年生の授業で紗幕に森の背景を描くものがあり、制作した作品をお披露目する良い機会になりました。校内で2度テストして動作を確認し、順次万端で今回の公演となりました。学生から『ここまでって言われたら子ども目線だと冷めると思う』という意見があり、子どもたちが幕に近づけるよう、つり下げの強度など気を付けました。学生たちは、子どもに近い目線で遊べるよう安全性を考えてくれ、とても良い経験になったのではと思います。現場では、紗幕が想定よりも透けて背景が見えてしまう問題が発生しましたが、児童館の協力もあり非常灯を目立たなくしたり白い布を吊るなどして対応しました。本番ぎりぎりまで、常に直して良いものを作るという舞台美術の勉強にもなりました。子どもたちとふれ合うことで学生の顔つきが『お兄さん、お姉さん』になり、ふだんとは異なる彼らの新しい面を知ることができました。公演をやっていく中で『ここはもっと濃くしたほうが良い』、『ハイライトをこの辺にも入れたほうが良い』と学生から意見が出て、ブラッシュアップされていきました。積極的にかかわってくれるようになり、人を楽しませることやより良いものを作ることはどういうことなのかなど、実感できたのではないかと思います」と公演をまとめました。
 参加してくれた子どもたちはもちろん、学生にとっても楽しく意義深いイベントになりました。