スペースデザインコースでは、地域企業と連携したプロジェクトに積極的に取り組んでいます。その一環として、日本最大級のDIYイベント「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW」への出展を目指し、株式会社アイチ金属との新たな共同プロジェクトが始動しました。
本プロジェクトの核となるのは、アイチ金属が展開するメタルサーフェス技術です。キックオフとして、2025年6月11日(水)、プロジェクトに参加する学生たちがアイチ金属を訪問。技術説明を受けたのち、工場見学を行いました。
メタルサーフェス技術および液体金属塗料「Liquid Metal」については、製造部 部長の柏岡信喜さんと、研究開発を担当する川中冴恵さんよりご説明いただきました。お二人は本校のメタル&ジュエリーコースの卒業生でもあり、学生にとっては身近な存在でもあります。
「金属粉・樹脂・硬化剤を混ぜた特殊塗料を木材や紙などに塗布し、研磨によって金属層を表出させることで、本物の金属と変わらない質感や重量感を得ることができます。鉄や銅、真鍮、錫など、金属それぞれの特性を活かせる塗料です。触れたときの感触や経年変化も再現でき、単なる塗装ではなく“素材としての金属”の魅力を持っています」と川中さんは語ります。
従来の金属加工では難しかった自由な形状や軽量構造にも対応できるのが、この技術の特長。美観だけでなく、経年変化や金属本来の性質(磁性や酸化など)も楽しめます。実際に鉄を含んだ塗料は磁石に反応し、表面処理を行わなければ赤く錆びるなど、本物の金属同様の変化が確認されました。
山田実社長は、「この技術は非常に価値のあるものですが、“研磨”という工程に手間がかかるため、製品化にはコストが課題となります。そこで、下地素材の工夫や、塗装された状態でそのまま販売可能な形を、皆さんに考えてもらいたい。たとえば、ユーザーが自分で仕上げる“体験型商品”のようなアイデアも良いと思います。誰もが手に取りやすい製品をぜひ提案してください」と学生たちに期待を寄せました。
ショールームには、メタルサーフェス技術で仕上げられた家具、キッチン、トイレ、車などが展示されており、学生たちからは驚きの声が上がりました。
続く工場見学では、メタルサーフェス技術だけでなく、建築金属製品製造事業、アルミハニカムを用いた精密パネル製造事業、金属素材の販売事業など、アイチ金属が手がけるさまざまな分野の現場を見学しました。階段や手すり、カウンターなどを製造する重厚な鉄工場から、軽量で高い剛性を持つハニカム構造パネルの精密製造ラインまで、金属という素材の多様性と技術の奥深さを実感する貴重な機会となりました。
今後、学生たちはLiquid Metalの特性や制約を理解した上で、素材選定・形状・使用シーンを含めた製品企画に挑戦していきます。金属表現の新たな可能性を広く伝えるだけでなく、実際の製品化も見据えた提案が期待されています。今後の展開に、ぜひご注目ください。