森と遊び、森を学ぶ。mozoワンダーシティにて「森のがっこう」を開催

 デザイン領域の学生たちが中心となって企画・運営する、mozoワンダーシティでの体験型イベント「森のがっこう」は、今年で4年目を迎えました。2025年5月から7月までの3か月間、さまざまな分野の学生がそれぞれの専門性を活かし、参加型ワークショップを展開しています。
 国内の森林で起きていることや、木という素材、間伐材、林業の課題などについて、実際に木に触れながら学んでもらおうという趣旨で開催されています。6月には「オリジナルフォトフレームをつくろう」「すごろくで使えるぐらぐら『コマ』づくり」「森のドリームキャッチャーをつくろう」「木製飛行機をつくろう」の4種類のワークショップを実施。複数の企画に参加する親子連れも見られ、昨年に続いて訪れるリピーターもおり、イベントが地域に根づきつつある様子がうかがえます。

 「森のがっこう」は学生が主導するプロジェクトです。6月・7月に行われるワークショップは、今年の学生たちが一から企画した新しいアイデアで構成されています。スペースデザインコースの西岡毅 講師と、イラストレーションコースの谷川司 助教にお話を伺いました。
 西岡講師は「『森』をテーマに継続的な取り組みを重ねており、回を追うごとに参加者も増え、地域に根ざしたイベントへと成長しています。参加する学生は、スペースデザイン、イラストレーション、メタル&ジュエリー(工芸)、テキスタイルなど、多様なコースから集まり、それぞれの専門性を活かして企画に取り組んでいる点が特徴です。企画立案から当日の運営、来場者とのコミュニケーションに至るまで、自分たちの手で体験を提供することは、非常に実践的な学びの場となっています。毎年さまざまな個性が集まり、新たな視点で森を捉える提案が生まれることは、とても意義深いです。今後もこの取り組みが継続し、さらに発展していってほしいと思います」と語ります。
 また、例年ワークショップ参加者には「森」をテーマにした冊子を配布していますが、今年は企画からデザインまで、すべて学生が手がけました。谷川助教は次のように話します。
 「学生から“ワークショップで終わらせず、もっと深く森について知ってもらいたい”という声が上がり、冊子の企画が始まりました。内容の調査、デザイン、キャラクター作成、イラストまですべて学生が担当し、親しみやすく、かつ学びのある内容に仕上がっています。6月は“まつぼっくり”、7月は“どんぐり”のスタンプを使い、針葉樹と広葉樹を模したページに押していく体験型の構成です。遊びの中で木の種類や葉の形を自然に学べるよう工夫されています。さらに、森林保全の現状や間伐の必要性といった大人向けの情報も盛り込まれており、親子で一緒に『森を知る』きっかけになる冊子となっています。当初は簡単な案内パンフレットや漫画形式の資料を想定していましたが、“もっと伝えたい”“学びにつなげたい”という学生たちの想いで内容が広がり、非常に充実した冊子になりました」と評価しました。

 ワークショップ「木製飛行機をつくろう」を担当したメディアコミュニケーションデザインコースの市川京佳さんは、次のように振り返ります。
 「木のパーツを自由に組み合わせて飛行機を作るワークショップで、お客さんがどれにしようかと想像をふくらませながらニコニコとパーツを選んでくれて、私まで楽しくなりました。私はグループワークの経験が少なかったので、思い切って参加しました。mozoという場所も魅力的で、素材を手で触って質感や形の面白さを感じられるのは、体験して初めてわかることです。グルーガンの安全な使い方を見守るのは責任もあり大変でしたが、良い経験になりました」。使用する木材や木の実は、学生たちが庄内緑地で季節ごとに採集したもので、「準備から大変だった」としながらも、やりがいを感じている様子でした。
 また、「すごろくで使えるぐらぐら『コマ』づくり」を担当したスペースデザインコースの松下葵さんは、「不安定なベースに重りを付けて、倒れにくいコマを作るワークショップです。どうすれば倒れないかを子どもたちが自分で考えながら取り組む様子に、新たな発見があります。一緒に考え、一緒に試行錯誤する、そのプロセスがとても楽しいです」と語ります。レーザー加工でパーツの精度を高めるなど、構造や形にもこだわりながら、木材という“生きた素材”と向き合う中で造形の奥深さも実感したそうです。

 子どもたちは「楽しい」を通じて森を知り、学生たちは「つくる」と「伝える」実践を通じて学びを深める。そんなイベントの会場には、熱気と笑顔があふれていました。