佐久島の課題をアートで発信、佐久島SDGsプロジェクト最終発表

 西尾市と美術領域が連携し、佐久島の漂着ごみ問題や島民の高齢化、人口減少などさまざまな課題を起点に作品を制作し、島の現状を広く発信する「佐久島SDGsプロジェクト」の最終プレゼンテーションを、2025年9月11日(木)に開催しました。
 2025年6月のフィールドリサーチでもお世話になった西尾市佐久島振興課の三矢由紀子さん、須藤悟さん、オフィス・マッチング・モウル代表の内藤美和さんをお招きし、学生が制作した作品をご覧いただきました。

 学生たちは、フィールドワークで集めた素材をもとに制作した作品を、制作過程で考えたことやアイデアスケッチとあわせて発表。
 漂着物を使ったオブジェ、島の形を模した大皿、「2050年には魚よりごみが多くなる」という予測を題材にした作品、漂着した子ども靴をモチーフにした作品、佐久島の石から釉薬を作り使用した陶芸作品、観光客が座れるベンチ案など、小さなアクセサリーから大型作品まで、日常と環境問題を結びつけた多彩なアイデアが紹介されました。
 発表した学生からは
「ごみを素材に作品を作ることで、環境問題が一気に自分の生活に近づいた」
「悲惨さを伝えるだけでなく、どうすれば人に届くかを考える時間になった」
「自分の作品を通じて、誰かが少しでも行動を変えてくれたらうれしい」
といった声が寄せられました。

 講評に立った松岡徹教授は、ごみを際立たせる見せ方やコンセプトが見る人に伝わるかを確認し、作品展示の際に必要な耐久性への配慮についても助言しました。
 展示を担当する内藤美和さんからは、展示方法の確認や万一破損した場合の対応、梱包方法など、運搬や展示の実際に関する具体的なコメントがありました。
 特に、今回が初めての作品展示となる1年生にとっては貴重なアドバイスとなり、今後の制作に活かせる内容となりました。
 三矢由紀子さんは「今回も楽しみにしていましたが、期待通りでした。皆さんありがとうございます。展示を通じて多くの人に佐久島の問題を伝えていきたい」と評価し、2025年10月以降の展示スケジュールを説明しました。
 作品は次の通り展示予定です。

 三矢さんは「可能であれば作者自身が展示会場に立ち、来場者に作品を説明してほしい」と呼びかけ、作品を通じて地域住民や来場者と直接交流する機会を設けたいと語りました。

 アートの力で漂着ごみ問題を可視化し社会へ伝えるこのプロジェクトは、学生にとって学びの実践であると同時に、佐久島の未来を考える市民参加型の取り組みでもあります。展示を通じ、島の課題と可能性がより多くの人々に届くことが期待されています。

提案された作品