科学をアートで伝える、先端メディア表現コース×名古屋市科学館「メディアアートで科学の魅力を伝えてみた!」

 デザイン領域先端メディア表現コース3年生は、名古屋市科学館とコラボレーションし、「メディアアートで科学の魅力を伝えてみた!」を開催しました。2025年10月4日(土)・5日(日)の2日間、名古屋市科学館 生命館地下2階サイエンスホールにて、学生たちが制作したメディアアート作品を展示。工作や実験を通して科学の楽しさを体験できる「青少年のための科学の祭典(名古屋大会)」と同時開催され、親子連れを中心に多くの来場者でにぎわいました。
 会場には、プログラミングを用いたゲームや、身体を使って楽しむアトラクションなど、学生たちの自由な発想から生まれた作品が並びました。どの作品にも共通していたのは、「科学を難しいものではなく、触れて感じられるものにしたい」という思いです。

 北村菜々さんの作品「周期表の中から探し出せ! Gen Search」は、元素周期表をテーマにしたゲーム作品。北村さんは「周期表の並び方がすごく美しいと思っていて、それを小さな子にも感じてほしかった」と話します。画面に映し出された元素を探し出すアクションゲームで、遊びながら化学の世界に親しめるようになっています。子どもたちに大人気で、何度も挑戦する参加者も多く、会場は笑顔と歓声に包まれました。「こんな大きな会場で多くの人に自分の作品を体験してもらえるのはとても嬉しいです」と北村さんは語りました。
 寺本和奏さんの作品「深海散歩 ―いざ、未知の世界へ―」は、暗室を使った空間インスタレーション。吊るされた深海生物の模型とジオラマで深海を再現し、ブラックライトを当てると光る蛍光塗料によって、暗闇に幻想的な世界が浮かび上がります。虫眼鏡を使って深海に潜むゴミを探す仕掛けもあり、環境問題にも目を向けた作品です。寺本さんは「造形に挑戦してみたくて、段ボールと紙だけで深海生物を作りました。時間はかかりましたが、空間ごと“深海”を表現できたと思います」と話しました。
 永水彩花さんの作品「雪の花を咲かせて」は、温度と水蒸気量をコントローラーで設定すると、その条件で生成される雪の結晶を表示する作品です。生成された雪の結晶には、それぞれ異なるキャラクターがデザインされており、体験者にはそのキャラクターのステッカーが配布されました。永水さんは「プログラミングで自然現象を再現したいと思いました。条件を変えると結晶の形が変わるところが科学的で面白いと思います。子どもたちが操作しながら“雪の研究者”のように楽しんでくれて嬉しかったです」と語りました。
 展示を担当した加藤良将講師は「今年はコンピューターを使ったデジタル作品だけでなく、立体的な作品や、手を動かして体験できる作品が多かった印象です。ワークショップ形式のものも増え、子どもたちが家でもやってみたいと思えるような内容になったと思います。毎年、学生たちには方向性を指示せず主体的に制作してもらっていますが、今年は特に“科学をどう伝えるか”をそれぞれが考え、身近で分かりやすい表現に仕上げてくれました」と振り返りました。

 子どもたちが科学の面白さを体験し、学生たちはアートを通して科学を“伝える力”を磨いた2日間。科学とメディアアートが出会うこのイベントは、名古屋市科学館とナディアパークの共催により、今後も継続して開催される予定です。
 また、この展示は2025年10月22日(水)から26日(日)まで、ナディアパーク2階アトリウムにて再び開催予定です。科学館で好評を博した作品が、今度は街の中心で新たな観客を迎えます。入場は無料で、どなたでもご覧いただけます。

制作者インタビュー

周期表の中から探し出せ! Gen Search

北村菜々さん

深海散歩 ―いざ、未知の世界へ―

寺本和奏さん

雪の花を咲かせて

永水彩花さん