2026年6月6日、7日の2日間、美術領域コミュニケーションアートコース、工芸コースの学生と大学院生あわせて14名が参加する「佐久島SDGsプロジェクト」の現地フィールドワークを実施しました。
本プロジェクトは、西尾市と連携して2023年度から継続している取り組みです。漂着ごみ問題や人口減少など、佐久島が抱える地域課題を起点に学生たちが作品を制作し、社会へ向けて発信することを目的としています。完成した作品は、2026年10月に佐久島弁天サロン、12月には佐久島ナビステーションなどで展示される予定です。
初日の午前中、学生たちは佐久島に到着後、松岡徹教授の案内で島内に点在するアート作品を見学しました。「おひるねハウス」をはじめ、島の風景と一体化した作品群に触れながら、アートによる地域活性化の取り組みについて学びました。
昼食後には、西尾市佐久島振興課の三矢由紀子さんによる講話が行われました。三矢さんは、かつて1,600人いた島の人口が現在は175人まで減少していることや、空き家・耕作放棄地の増加、地域コミュニティの維持などが大きな課題となっていることを説明しました。さらに漂着ごみについても、「片付ける人そのものが減っている」という現状を紹介し、人口減少と環境問題が密接に結びついていることを学生たちに伝えました。
また、昨年度の展示に寄せられた来場者アンケートの結果も共有されました。来場者からは、「ごみを出さないように気を付けようと思った」「未来について考えさせられた」「言葉だけでなく目で伝えることの大切さを感じた」など、多くの感想が寄せられています。事業報告では、「島の現状が分かった」「ごみを出さないようにしたい」といった声も多数見られ、本企画は漂着ごみの“発生抑制”に大きく貢献し、作品を通して島の現状を伝えることができたと総括されました。
講話後は、干潮の時間に合わせて白浜海岸へ移動し、海岸清掃と作品素材の収集を行いました。直前に通過した台風6号の影響もあり、海岸には通常以上に多くの漂着ごみが打ち上げられていました。学生たちはプラスチックごみやペットボトル、漁具などを拾い集めるとともに、漂着物を観察しながら制作のヒントを探していました。なかには、カラフルなプラスチック片や、波や岩によって角が削られ小石のようになったシーグラスなどを素材として収集する学生の姿も見られました。
約1時間の清掃活動で集まったごみは軽トラックいっぱいになるほどの量となり、島が抱える環境問題の深刻さをあらためて実感する機会となりました。
清掃後は宿泊先のある東集落へ向かいながら、松岡教授の案内で島内のアート作品を見学しました。途中には、松岡教授が現在制作を進めている新作の現場を見学する機会にも恵まれました。この作品は、佐久島東端にある平古古墳群をモチーフとした大型プロジェクトです。現在は大きな円墳と石室の整備が進められており、完成後は上に登ったり座ったりしながら風景を楽しめる空間となる予定です。
周囲には実際の古墳群の配置を参考にした小さな古墳も設置されており、今後は屋根やベンチなどの整備を進めながら、5年ほどをかけて完成を目指しているとのことです。学生たちは、普段見ることのできない制作現場に興味深く見入っていました。
宿に到着した後も、学生たちは周辺を散策しながらアート作品や島の風景を見学しました。2日目はあいにくの雨模様となりましたが、引き続き島内を巡り、それぞれの視点から地域の課題や魅力について理解を深めました。
今後は今回のフィールドワークを出発点として、夏にかけて作品制作を進め、2026年9月に作品発表を行います。その後、10月1日から11月29日まで佐久島弁天サロンで展示を実施するほか、11月には三河湾大感謝祭への出展や海ごみ回収イベント、12月には佐久島ナビステーションでの展示やシーグラスを活用したワークショップも予定されています。
海岸でごみを拾い、佐久島の現状を自らの目で見つめた学生たち。今回のフィールドワークでは、作品制作のための素材だけでなく、社会課題と向き合うための多くの学びを得ました。これからどのような作品が生み出されるのか、今後の展開が期待されます。