工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト、進捗報告

 美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースと古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画、作品の進捗報告会を2023年2月1日(水)西キャンパス セラミック工房にて行いました。古川美術館から館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏、学芸員 早川祥子氏をお招きし、制作途中の学生作品を見ていただき作品の出来具合と当初のイメージ通りの設置で問題がないかを確認し、想定する設置場所を含めて再検討しました。
 14名の作品を1展ずつ閲覧、すでに完成した作品もあればこれから焼き上げる陶の作品もあり、進捗状況はそれぞれですが作者の学生と対話しながら作品イメージをかため、展示場所や展示方法を検討しました。
 作品は、七宝焼きを使ったもの、ガラス作品、ドローイング、大きな陶芸作品、テキスタイルの染め、アルミ缶を焼いた金属作品など、素材のバリエーションも大きさもそれぞれ大きく異なります(有志で参加するテキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース学生の作品もあり)。それら一点一点の魅力と、全体的な見え方のバランスを考えながら展示を考えます。

 いずれの作品でも焦点になったのが、作品を置く台座。前回のまでの説明で、古川美術館には白い木製の台や漆塗りの黒い台、高さも薄く低いものからテーブルと同じような高さのものまで、さまざまな展示台があることが学生には伝わっています。どういった展示台を想定して作品を作っているのかや作品のどの部分を見せたいのかといったコンセプトをあらためて聞き出し、最適な展示になるように検討します。中には、前回の企画案から大きく作品が変更になった学生もおり、こうした報告会の必要性がよく理解できます。印象的なのは、学芸員の早川さんの姿勢。ときには、メジャーを取りだし作品の寸法を確認するなど、作品を理解しその魅力を最大限に引き出そうとする姿はまさに学芸員の仕事そのもの。作品を作ることに集中するのが作家ですが、最終的にどう見せて何を伝えたいかそこまで想定しながら制作することが大事なのだと気付かされます。伊藤さんからも、作品の背景にある考えが面白い作品にはしっかりとしたステートメントや説明を付けるべきであることを指摘するなど、見せるという点についての考え方には確固としたものがあり、大いに刺激となるものでした。中田ナオト准教授は、作者も気づいていない部分の作品の魅力を掘り下げたり魅力に合った見せ方を作家としての立場から考えたりと、作品コンセプトに対して現状での練り直し作業を一緒に行いブレインストーミングのような報告会となりました。

 一通り、作品を確認したお二人からは、「展示は、いつも思い通りにならないものですが、一緒にその経験をしたいと思います。皆さんが見せたいようにすることが目標ですが、うまくいかないこともあります。そうした経験を今後の作品づくりに役立てて欲しいと思います」(早川さん)、「いろいろなバリエーションの作品があり、とても楽しみです。一緒に楽しみながらやっていきたいと思います」(伊藤さん)と、温かいコメントをいただきました。

 また、今回の分館爲三郎記念館での展示が、名古屋市の文化芸術支援事業である「クリエイティブ・リンク・ナゴヤ助成事業」になり、SNSやWeb広告といった、デジタル技術を活用した広報活動の助成を受けることになりました。これに伴い、古川美術館と関連の深い名古屋のケーブルテレビ局 スターキャットが学生とともに広告用の映像制作を行うこととなりました。ニュースでの放映も予定され、さまざまな告知活動が行われることとなります。こちらも併せてお楽しみに。