産学連携 mozoワンダーシティとのコラボレーション 「森のがっこう」開校

 本学と名古屋市西区 mozoワンダーシティでは、連携イベント「森のがっこう」を開催いたしました。「森のがっこう」は日本の森林を体験するイベントで、建材や家具、紙の原料として生活に欠かせない「木」を通して、森林のことを考え、木を身近に感じる展示やワークショップなどを行っていく内容。イベントの第一弾として、2022年4月30日(土)、5月1日(日)に、デザイン領域 スペースデザインコース 駒井貞治 教授と豊田森林組合 山田政和氏によるトークショーを開催。あわせてスペースデザインコースの学生が制作し、東京都立川市 PLAY!MUSEUMにて展示した「本とこどものかぐ展」の展示を再現。GWで賑わうショッピングモールで、お客さまにトークショーと作品を見ていただきました。

 はじめに駒井教授から、この連携イベントについて説明がありました。「大学では家具などを作って来たが、これまで材料は材木屋さんから買ってくるのが通常だった。その材料となる木材を山で切ることから始める機会があり、そこで現在の林業の問題を知ることになった。こうした話を聞くことで、作る家具にも変化があり、より良いものができると感じた。もっと多くの人に森のことを知ってもらう機会を作りたかった」と森のがっこうの目的が語られました。
 トークショーでは、80年前にスギとヒノキに重点を置いた国の施策の歴史についてから始まり苗木や木の育成についてなど、実際に林業に携わる森林組合の山田さんのお話は、大変興味深いものでした。苗木はある程度間隔を詰めて植えないと木が成長したときに横に広がってしまい真っ直ぐな木に育たないそうで、材木に適した木を育てるためには詰めて植える必要があること。そのため、成長するに連れ定期的な間伐が必要となり、最終的に木材として活用されるのは植えられた苗木の1/4以下となってしまうこと。3/4以上の木が間伐材として切られることになりますが、太さがあるものは商品として価値があるといいます。しかしながら、価格は安く、また利用のされ方も十分とはいえないのが現状です。従来であれば、建築現場の足場や木杭として使われていましたが、時代の移り変わりとともに使われなくなっています。海外から安価な輸入材が入ってくることで国産材の使用率が減っていることも林業にとっては大きな問題です。日本で年間に使われる木材の量はおおよそ8000万立方メートルなのですが、そのうち国産材は3000万立方メートル。日本の林業が経営的にも健全な状態で循環するには、国内産だけで年間1億立方メートルの木材の使用を必要とする試算もあり、国内産の木材を活用し、使用量を増やすアイデアが望まれている状況です。また、防災や都市の環境装置としても森林の存在は重要で、木材の利用と防災の両方の面から、都市と森を関連づけて考えていく必要性などが語られました。山田さんは、名古屋・錦二丁目まちづくり協議会とも連携し、錦二丁目長者町の路上にストリート・ウッド・デッキを設置する「都市の木質化」というプロジェクトにもかかわっており、多くの人に都市と森をつなぐ活動を知って欲しいといいます。駒井教授からも、木という素材に触れて、興味を持つことからはじめてもらいたいと説明がありました。

 「本とこどものかぐ展」の展示では、たくさんの子どもたちが実際に学生が作った家具に触れました。展示について説明を担当したスペースデザインコース4年 杉浦初望(すぎうら はつみ)さんは、「たくさんの人に作品を見てもらえてうれしい。使う人のことを考えて作っていますが、実際に手に触れた人から感想を聞けたことはとても貴重な経験となりました。子どもたちに遊んでもらえたことも、とても良かったと思います」と話してくれました。
 この日、森のがっこうに参加していただいたお客さまには、レーザー彫刻機で焼き印を描いた特製の木製コースターをプレゼント。実際にレーザー彫刻機が動作するところも紹介。観客も彫刻機を興味津々で見守り、美しい出来映えや木の香りを楽しみました。