鯱バス×先端メディア表現コース デジタルツーリズム、映像発表会

 鯱バス株式会社様とデザイン領域 先端メディア表現コースが進めてきたコロナ禍での新しい観光のあり方を共同研究開発するプロジェクト、デジタルツーリズムの映像発表会を2022年5月11日に行いました。昨年9月にプロジェクトがスタートして8ヶ月、対象となる株式会社えびせんべいの里様、株式会社まるや八丁味噌様、大野精工株式会社様を視察、デジタル化でできることのアイデアを出し構成とシナリオを考え撮影、2本の映像作品が完成しました。その映像を、鯱バス 宇津木滋 社長と経営戦略部の方々、撮影にご協力いただいたえびせんべいの里、まるや八丁味噌、大野精工株式会社 キングファームそれぞれのご担当者様をお招きして発表、評していただきました。

 作品は2つ。ひとつはツアーと香りを結びつけ、赤味噌、えびせんべい、いちごのアロマを用意し、映像を見ながらその場所の香りを感じツアーの記憶とリンクさせる「アロマツアー」。もうひとつは、視聴者に模した人形が視聴者に代わってツアーに出かけそれをオンラインで体験する「あなたが人形になる!?オンライン体験ツアー」。それぞれは5分程度の映像にまとめられ、「アロマツアー」をメディアデザインコース4年 川口和也さん、「あなたが人形になる!?オンライン体験ツアー」を同じく4年 岩下梨々花さんがプレゼンテーションしました。
 どちらの作品も学生と鯱バスのガイドさんが出演し、味噌蔵、えびせんべいの工場、いちご農園とそれぞれのシーンが印象的にまとめられています。また、どちらの作品もサウンドメディア・コンポジションコースの学生が音楽を制作しており、スタイリッシュな印象になっています。プレゼンした川口さんは、「記憶に強く訴えかけ追想体験させることでより広いターゲットに対応できるようになると思います。改良を重ねてツアーのことを印象付けられるサービスになればいいと考えています。今回のプロジェクトではたくさんの体験ができました。学生として面白いか面白くないかを基準に考えていましたが、ビジネスという観点からご意見をいただいたことがとても勉強になりました。実際にサービスとして成立させることの難しさと考え方を学ぶことができました」とまとめました。岩下さんは「ツアー参加者が写真と人形を見ることで体験を重ね合わせられ、人形視点に主観転換することで他視点からツアーに参加できる魅力があります。実際に社会に活躍している方々とプロジェクトに参加し、自分の成長を感じています。芸大生として作品を作って来ましたが、ビジネスという部分では力不足を実感しました。初めての経験ばかりでしたが、その分新しい気付きを得る機会をたくさんいただいたと感じています」とまとめました。どちらの作品も、単に映像を見るだけでなく映像に香りや人形というリアルなものを組み合わせることでデジタルと現実を強く結びつける作品となりました。

 講評は、関係者10名がその場で審査・集計して行われました。アロマツアーの評価は、サービスの魅力がよく伝わる映像としてまずまずの評価。企業の特色が表現されているかという点ではもう一つ。サービスのオリジナリティという点では概ね高く評価されました。あなたが人形になる…、では、評価が分かれました。企業の特色が表現されているかという点では同じくもう一つ。オリジナリティについては高く評価されました。持続性・発展性を考慮しどちらの案を推すかについては、ほぼ同数ですがわずかに、あなたが人形になる…案が上回りました。審査員からの感想は、その場だけで終わらない体験を上手く表現してくれた、ふだんアイデアをどう現実化するかについてばかり考えているので学生の考え方は大きな刺激になった、企業のことをよく考えていて予想以上に良い出来で感動しました、とうてい自分たちではできないことをやってくれて感謝、新しい気付きをたくさんいただいた、やりきった体験は必ず役に立つ、この経験を社会に役立てて欲しい、などうれしい言葉をたくさんいただきました。
 宇津木社長からは「着眼点、技術、どれも自分たちにないもの。会社としても新しい分野を見ることができたことは深く感謝します。企業として常に新しい方々に活躍の場を提供したいと考えていますが、そういうことができたのではないかとうれしく思います。できればこうしたプロジェクトを継続して行きたい」と感想と抱負を述べました。  先端メディア表現コース 加藤良将講師は「学生らを温かい目で見守っていただきありがとうございました。学生にとって貴重な経験になりました」。竹内創教授からは「プロジェクトの長い期間、本当に感謝しかありません。このプロジェクトで、今現在こうした時間を共有していますが、これが一番の成果ではないかと感じています。他の領域の学生も数多く参加して立体を作ったり音楽を付けてくれました。彼らと企業の皆さんと今一緒にいるということが何よりの成果だと思っています」と締めくくり発表会は終了となりました。