山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース「ねんじゅ-catalog of ideas 2022 念珠を『初めての目』で見て、発見する」最終プレゼンテーション実施

 ライフスタイルデザインコースでは、大阪上本町の株式会社 山田念珠堂様からの依頼を受け受託事業として、念珠(数珠、珠数、じゅず)に関連する新しい商材の企画、また、情報発信やそのためのメディアの考案・製作など開発支援を行い、そのアイデアを提案するプロジェクトを進めてきました。2022年9月30日(金)、山田念珠堂から山田弘樹様、山田麻香様をお招きし、最終のプレゼンテーションを行い、アイデアをまとめたカタログをお渡ししました。このプロジェクトには、デザイン領域ライフスタイルデザインコースの選抜メンバー、2年 坂部浩二郎さん、菅谷勇斗さん、3年 川部羽瑠香さん、榊原里紗さん、杉山さやかさんが参加、アイデア出しとモックアップの制作を行いました。
 念珠は、古くから仏事や法事には欠かせない非常に馴染みの深い仏具ではあるものの、とりわけ学生にとっては、そうした場で携えるものとしての認識はあるもののそれ以上に念珠に関しての知識もなく、プロジェクトは念珠について学ぶことから始まりました。プロジェクトが始まって間もなくの6月、学生らは大阪の山田念珠堂に赴き、念珠のいわれとしきたりについて説明を伺い、製造現場を見学、営業企画-部品調達-製造-出荷に至る製造フローを学び、実際に念珠製作の体験をさせていただきました。
 この経験をもとに学生らはさまざまな企画を考えたくさんの素案が挙げられましたが、そこから48案にしぼり、8月末、山田念珠堂様に1次プレゼンテーションを行いました。その結果を受けてブラッシュアップ、最終的に今回23の案を提案しました。

 最終プレゼンテーションは、西キャンパスB棟 視聴覚室で行い、学生は自分の提案した企画について実際に制作したモックアップと併せて、企画の詳細について説明しました。提案にはさまざまなバリエーションがあり、念珠の機能としての祈りや願いの心について着目したもの、念珠の素材について考え新たな素材でアプローチしたもの、形状やふさのデザインを考案したもの、珠を数えるという役割や環になった形状から新たな使い方を模索するもの、広く広告戦略を考えた案など、それぞれに特徴のあるバラエティ豊かな提案となりました。
 山田弘樹様、山田麻香様からの質問に答える形で対話が進み、和やかな講評会となりました。新素材を使った案には「念珠は、水晶などの宝石や木製でも紫檀や黒檀など、貴重な素材が使われるのが通常で、レジンや木炭、自分が使っていた愛着あるものを念珠に作り替える案なども、サスティナビリティを考えたときに非常に興味深い」、また、市バスのラッピングまで含めた広告展開に関する提案には「これまでに考えたこともなかった、見せ方についても『五感で感じて』というのがすごく良かった」、作り手の職人さんをフィーチャーしたパッケージデザインについては「すごく喜ぶと思う、こうした作り手のことを伝えることも考えていきたい」と、提案それぞれに対しうれしい評価をいただきました。
 プレゼン全体の講評として「本当に楽しかった、念珠の世界で仕事をしている人には考えられない若い人の自由な発想が素晴らしいです。歴史のあるものですがそれを守るだけでなく、若い人が使ってみたいと思うようなものを作っていくことも大切だと感じました。面白い案ばかりで、実際に世の中の人の手に渡るように考えていきたいです」。「残すべき伝統もありますが新しいものにもチャンレジしていく必要があり、とても勉強になりました。11月に京都で全国仏壇仏具振興会の見本市がありますが、そこに今日見せていただいたもののいくつかを展示したいと考えています。業界としても大いに刺激になるのではと期待しています」との言葉をいただきました。担当する萩原周 教授からは「今回はアイデアをお渡しするためのプロジェクトでしたが、制作したモデルをそのまま展示することも、またモデルだけでなく展示そのものも含めお役に立てることがあると思いますのでご相談ください。学生としても、もうすこしブラッシュアップしたいという考えもあると思いますので、協力いたします」と応えました。
 学生からは「自分の知らなかった新しいことを知ることができて楽しかった」、「これまで携わったことのなかった陶芸工房へ入って焼いてもらい、自分の世界が広がりました」、「モデルを作ることが自分にとって新しい挑戦になりました」との感想があり、学生にとっても知見を広げ、新たな経験となったようです。
 制作の苦労と楽しさを皆で共有しつつさらなる広がりを期待させ、プロジェクトは終了となりました。