名古屋西文化小劇場 第2回連携事業 室内オペラ公演「喜歌劇 こうもり」を上演しました

2018年2月24、25日の2日間、名古屋市西文化小劇場にて、本学と名古屋西文化小劇場との連携事業として「喜歌劇 こうもり」を上演しました。名古屋西文化小劇場との連携事業は昨年から始まったもので、「くらしに文化と感動を!」というコンセプトのもと、身近な小劇場で気軽にオペラを楽しんでいただこうと企画、展開されているものです。

今年度、上演されたのはシュトラウスオペレッタ(イタリア語で「小さいオペラ」の意、オペラから派生した娯楽的な作品が多い)「こうもり」です。「オペレッタの王様」とも称される傑作で、誰しも聞き覚えのある親しみやすい楽曲、個性的な登場人物たち、パーティという華やかな舞台、どこをとっても大いに楽しめる演目です。

今回の公演では、初日24日(土)が教員・大学院生・学部学生選抜公演、25日(日)が教員・卒業生公演となり、観客はくらべて見ることが楽しめ、また、出演する学生にとっては、教員や一線で活躍する卒業生の技術を間近に見られる非常に良い機会となりました。

25日の教員・卒業生公演では、アイゼンシュタイン 加藤市之亟サンタマリア、ロザリンデ 大須賀園枝(教員)、ファルケ 松下伸也(教員)、アデーレ 倉本亜紗、イーダ 堀江綾乃、オルロフスキー 森有世、アルフレード 平野友洋、ブリント 林雅大、フランク 塚本伸彦、フロッシュ 林正浩。スタッフは指揮 金丸克己、演出 澤脇達晴(教員)、演奏 名古屋芸術大学オーケストラ(バイオリンに日比浩一(教員)、ヴィオラ、チェロにも実技補助員が参加)、舞台補助としてエンターテインメントディレクション&アートマネジメントコースの学生が参加という、豪華な顔ぶれとなりました。

これまで、澤脇達晴教授が手がけてきた演出のオペラは、さまざまなアイデアや仕掛けを盛り込んだものが多かったのですが、今回は作品が持つオペレッタの魅力をそのまま伝えたいという考えもあり、オーソドックスな手法となりました。それだけに、作品が持つ本来の魅力、また、細かな動きや台詞の間合いなど演者の技量が試される舞台となりました。序曲が始まると、素晴らしいメロディと演奏に観客は期待を高め、ファルケ博士の前口上に引き込まれ、幕が開きアデーレが登場するともう舞台に釘付けです。

第1幕は、アイゼンシュタイン邸の一室が舞台。登場人物の相関関係と状況をコミカルに伝え、登場人物それぞれに仕掛けられるファルケ博士の策略を観客は楽しみます。第2幕は、大広間でのパーティ。華やかに着飾った登場人物らが、偽名で一堂に会します。正体に気が付かないまま行われるやりとりはまさに喜劇。観客は、華やかなパーティの雰囲気とともにパフォーマンスを大いに楽しみます。第3幕は、刑務所内にとなり、お互いの素性が明らかに。ファルケにより“こうもりの復讐”であることが告げられると出演者総出演で「シャンパンの歌」を陽気に合唱、大団円で幕となります。

第1幕から随所に笑わせるシーンがあり、観客たちは、時折、笑い声をもらし、また、歌唱の場面ではうっとりと聴き惚れていました。フィナーレの合唱では「ブラボー!」の歓声が上がり、いつまでも拍手は鳴り止みませんでした。

終演後は、キャストらがロビーに並び、観客をお見送り。恩師、先輩らと再会した出演者もおり、サロンのような雰囲気のなか公演は終了となりました。

第1幕 女中のアデーレ登場。観客は舞台に引き込まれます

アイゼンシュタインとロザリンデ、弁護士ブリントの三重唱。弁護士とのやりとりに笑いが

悲しむふりをしながら、はしゃいでしまうアイゼンシュタインとロザリンデ。観客も思わず笑ってしまう楽しい曲

酒と恋を称える、愛人アルフレッド。アルフレッドはアイゼンシュタインの身なりをして間違われ、刑務所へ連行

第2幕 オルロフスキー公爵邸 華やかな場面に

“フランスの大富豪ルナール”ということになっているアイゼンシュタインが登場、やはり“女優”ということになっている女中のアデーレと鉢合わせ

「侯爵様、あなたのような方は」笑い声をイメージさせるアリア

やはりフランス貴族に扮した監獄長フランクが登場。フランス語での会話を促され、アイゼンシュタインと「オー・シャンゼリゼ」ならぬ「オー・シャンデリア」を熱唱

ハンガリーの貴族としてマスクを付けたロザリンデが登場。妻とは知らずアイゼンシュタインは時計を取り出し口説き始める

第3幕 看守フロッシュが酔っぱらって登場

アデーレとイーダが登場。フランクをまだ貴族だと思い込み支援を要望。「田舎娘を演じる時は」アリアを披露

入獄するつもりのアイゼンシュタインが登場。アイゼンシュタインもフランクも混乱

ブリント弁護士の服を着たアイゼンシュタインとロザリンデとアルフレッド。ロザリンデが昨夜のハンガリー貴族とわかり、ドタバタな展開

最後は総出演で、すべてはシャンパンに罪があると「シャンパンの歌」を合唱。華やかななうちに幕

演奏は名古屋芸術大学オーケストラ。演奏者にも、惜しみない拍手が送られていました。