音楽領域 声優アクティングコース1期生 卒業公演「2.5次元舞台 COLORS 彩られた世界へ」開催

 2021年11月14日(日)、音楽領域 声優アクティングコース 卒業公演「2.5次元舞台 COLORS 彩られた世界へ」が、本学 東キャンパス 3号館ホールにて開催されました。原作は、本学美術領域 アートクリエイターコース卒業生の有志からなるアニメ制作チーム「ACREATION」の自主制作アニメ。2019年に公開されましたが、その声を声優アクティングコースの学生が担当していました。当時は1年生だった学生が、思い入れのある同じ作品を再び演じることとなったのが今回の卒業公演なのです(「ACREATION」中村大樹さんのアートクリエイターコース卒業制作アニメ「プロポーズ」(2019年度ブライトン大学賞 優秀賞)の声も、声優アクティングコースが担当。YouTubeでも見られます。公演では、リアルな時間軸の部分はお芝居で進行し、回想シーンになるとスクリーンにアニメが表示されアフレコでその場で声を当てるというユニークな構成。また、COLORSオリジナルの本編は40分ほどなのですが、今回の公演にあたり大幅に加筆され、登場人物それぞれの背景が盛り込まれました。それにあわせ新たなアニメパートも制作され、公演ぎりぎりまでかかり滑り込みで間に合いました。原作、脚本、音楽、そして舞台公演の音響、照明、美術、フライヤー……、すべて本学学生およびOB、OGがかかわる作品となりました。公演は2回公演で、Aチーム、Bチームでキャストを入れ替え演じます。観客席は学生のご家族で埋まり、温かさを感じました。

 物語は、美術大学学生らの制作に対する葛藤を描いた青春群像劇。大学に入ったころのプライドと自信の喪失がテーマであり、創作の怖さや苦しみを乗り越え制作意欲を取り戻すまでのストーリー。演ずる学生も、登場人物と自身の状況が重なることが多いであろうし、また、舞台を見る学生にとっても思い当たることが多い内容のように思われます。領域にかかわらず芸術大学という場では、日常に近い普遍的なテーマであるともいえます。しっかりと物語に引き込まれ、完成度の高い舞台に仕上がりました。とくに、演者たちのアフレコの技術が素晴らしく、アニメパートは安心して見られる印象です。対して、お芝居のパートはホール全体に伝わる芝居が必要となり、異なった技術と能力が必要なのだとよくわかります。映像作品の演技とも異なった発声や身体表現など考えさせられ、興味深く観劇することができました。

 第2部は、殺陣パフォーマンス「you」。殺陣アクションに、季節を表す派手な衣装とメッセージ性を含む登場人物が加わり見ごたえ充分、照明も盛り上げます。ケレン味あふれるステージで、こうした演目も演劇の魅力のひとつといえます。声優アクティングコースが学んできた幅を感じさせるステージとなりました。
 引き続き、声優アクティングコースで結成された声優ユニット iCANDYの1~3年生が先輩に贈る歌を披露。元気いっぱいに歌い踊りました。
 ここで司会の声優アクティングコース 福満薫 講師が登場、初の卒業生を迎えた感慨とともに最後の演目を紹介しました。最後は、4年生による歌のステージですが、こうした公開のステージは学生時代これが最後。福満先生のコメントもあってか潤んだ歌声もあり、観客席にも目頭を拭う姿が見られました。2回目公演の最後の曲、サプライズで観客席に「ご卒業おめでとうございます」の横断幕が現れると、緊張が解けたように涙する学生も。後輩らから花束を受け取り、鳴り止まぬ拍手の中会場から送り出され卒業公演は終了となりました。