エンターテインメントディレクションコース 卒業公演「えんとつ町のプペル」上演

 2021年12月12日(日)、東キャンパス3号館ホールにて、エンターテインメントディレクションコース 卒業公演「えんとつ町のプペル」を上演しました。この公演は、エンターテインメントディレクションコース 4年生が主催するもので、制作、演出、脚本、美術、衣装、照明、音響と、舞台やイベントを裏から支えるスタッフとして学んできたことを披露する集大成。文字通り、実際に舞台で演じるキャスト以外は、ほぼすべてをエンターテインメントディレクションコースが手がける舞台です。キャストは、オーディションで選ばれ声優アクティングコース、ダンスパフォーマンスコース、音楽総合コース、ミュージカルコースの3年生が演じました。2回公演ですが、公演1ヶ月ほど前には全席完売。期待の高さをうかがわせます。

 物語は、キングコング西野亮廣さん原作の絵本。映画になったりミュージカル化されたり、多くの舞台で上演されています。ポイントとなるのは、物語の世界観。えんとつだらけで煙に覆われた高い建物に囲まれ、猥雑な生活感や閉塞感のある町が舞台です。原作の絵本でもびっしりと書き込まれた背景が印象的です。こうした原作の雰囲気を舞台上に作り出せるかが、まずは大きなポイントです。舞台では、Tシャツを使った大掛かりなセットを配置。Tシャツの間に電球が埋め込まれた凝ったセットです。このセットが、照明によって干された洗濯物に見えたり、埋め込まれた電球で遠くのビルに見えたりと、物語の雰囲気を作り出します。また、据えられた階段が、ビルの谷間になったり家の屋根になったり、物語の後半では船の舳先になりと、効果的に使われています。スモークを使い隠すことで視覚をコントロールし、うまく表現されています。後半の船のシーンでは浮遊感もあり、舞台で再現することは難しい高いところへ登った感じもよく伝わります。
 物語の雰囲気を表現するのにさらに効果を加えたのがエンタメコース初となる立体音響。客席側にもスピーカーが配置され、没入感が高まります。ラストの星が見えるシーンでは、プロジェクションマッピングで舞台の上部に星空が映し出され、物語は大団円へ。3号館ホールのステージがいっそう大きく見えるような、見どころの多い演出となりました。
 さまざまな装置を使った演出は来場者にも充分に伝わったようで、会場は物語に引き込まれているようでした。空気感を味わうように見つめる姿が印象的でした。
 集大成でありながら新しいことにもチャレンジしたこの舞台、スタッフたちからもやりきったという感触が伝わってきました。
 来場者、キャスト、スタッフともに大きな満足を得て、舞台は終了となりました。