ヴィジュアルデザインコース 名古屋の魅力を発信する「ナゴヤ展」、 特別客員教授 原田祐馬氏の講演「まちがみえるプロジェクト」を開催

 2022年2月3日(木)から9日(水)、ヴィジュアルデザインコース3年生による展覧会「ナゴヤ展」を開催しました。ナゴヤ展は、例年、名古屋城本丸御殿にて行われている展示で、名古屋城の本質的な価値を考えそれを伝えるというテーマで行われてきました。今年度はさらに対象を広げ、城下町としての名古屋の魅力を発信するとして、名古屋城と長者町のフィールドワークを行い作品の制作を行いました。その作品を、期間中名古屋城本丸御殿 孔雀乃間にて展示、また、サテライト会場として、中区錦2丁目の長者町コットンビルにて、2月5日(土)から8日(火)の4日間「それはほとんどの場合、かたちがそこにある」展として、作品の一部を展示しました。


ナゴヤ展Webサイト

 2月8日には、長者町コットンビルで特別客員教授 原田祐馬氏、長者町フィールドワークでお世話になったNPO法人まちの縁側育くみ隊 代表理事/錦二丁目エリアマネジメント株式会社 代表取締役 名畑恵氏、デザインプロダクション 株式会社クーグート 代表取締役 髙橋佳介氏をお招きし講評会を開催、併せて原田祐馬氏による講演「まちがみえるプロジェクト」を開催しました。

 講評会では、学生がひとり5分程度のプレゼンテーションを行い、作品について解説しました。今年度の作品は、城下町もテーマに含めたことからか、より幅の広いバラエティに富んだ作品が制作されました。これまで通りの名古屋城と名古屋の碁盤割りに着目した歴史を感じさせるものに加え、喫茶店や店舗など長者町とそこに行き来する人との関係性を考えた作品など社会とのつながりを考えさせる作品が増え、とても印象的でした。講評会でもそうした作品への評価が聞かれ、町のゴミに関するもの、地域の祭りと防災を組み合わせたもの、空きテナントを利用した災害用シェルターの提案など、魅力の発信にとどまらずゴミの問題や安全・安心にかかわることに取り組んだ作品なども見られ、高い評価をいただきました。原田氏からは、大きな視点で考えデザインに落とし込んでいくことの難しさを感じたと思うがこれこそがデザイナーの仕事であり今後求められるスキルになっていく、面白いと感じたテーマはぜひ来年以降も続けて行って欲しい、と講評の言葉をいただきました。

 講評会の後に、原田氏の講演「まちがみえるプロジェクト」が行われました。原田氏は、現在かかわっている仕事を紹介しながら、デザインとデザイナーの役割についてお話しいただきました。デザインの役割としては、もともとあるものの魅力を最大限化する、バラバラのものを組み立ててひとつのものにする、自分の作るものと社会や環境とのバランスを考える、2つのものをつなぐ、これまでまったく関係していなかったものをつなぐ、と5つの役割を挙げ、この5つのことにかかわりながらデザインの仕事は成り立っていると説明します。また「PROJECT」という言葉に着目し、「PRO=前に」「JECT=投げる」と語源を紹介し、誰かに届けるためにパッケージされたものがプロジェクトであり、新しいことや未来へ遠く投げかけること自体がデザイナーの仕事ではないかと説明しました。また、見えていないものを可視化してわかるようにすることも使命のひとつであり「目が届いていないことへのまなざしをつくること」が重要と話しました。こうした解説に続き、障害者の働き方を考えるGOOD JOB! PROJECT、子どもと働く人の居心地を考える児童養護施設 森の木、淡路島、洲本市のレジ袋を指定ゴミ袋としてリユースできる護海袋プロジェクト、デザイナー、クリエイター、コンサルタントなどのネットワークを構築し事業・施策の相談窓口をつくるさがデザインなどの取り組みを紹介していただきました。プロダクトを作るだけにとどまらない、まさに人やものごとの間をつなぐデザイナーの役割を体現する活動で、学生らも大いに感化される講演となりました。

ナゴヤ展 本丸御殿会場

ナゴヤ展 展示作品

講評会/原田祐馬氏講演/作品展示