スペースデザインコース 無印良品マルエイガレリアにてアップサイクル家具の「UPCYCLE -Furniture-」展を開催

UPCYCLE -Furniture-展

 スペースデザインコース デザイン実技の講義では、使われなくなったものや廃棄されたものに新たな価値を見出し、再び使えるようにデザインし直し、社会へ環流させることを考えプロトタイプを制作する“アップサイクル”に取り組んでいます。その成果を例年展示していますが、今年度は、無印良品の店舗で商品を陳列する際に使用していた備品を家具へとアップサイクルし、制作したプロトタイプを「UPCYCLE -Furniture-」として、無印良品 マルエイガレリアにて2023年2月15 日(水)~21日 (火)に展示しました。最終日の21日には、学生らが展示会場の無印良品に集まり、講評会が行われました。

 講評会は、担当する服部隼弥 非常勤講師と株式会社良品計画 無印良品 マルエイガレリア 店長 藤山一生さんが参加しました。また、オンラインで株式会社良品計画 空間設計部 磯野歩さん、イデー担当 中津和敬さんも参加しました。
 学生らは、5つのチームに分かれそれぞれが制作してきた家具を前にコンセプトを説明、制作で苦労した点などを紹介しました。使われなくなったハンガーを組み合わせてスタンドを付けたコートハンガーの「HOOK HOOK」、ディスプレイボードに鏡とライトを加えたバニティミラー「anywhere -どこでも-」、押し入れに仕舞うPPケースにスノコ状の枠と脚を付けた家具「光のあたる家具」、ラタンの籠にフレームを付け使いやすくした「coconi」、傷が付き商品価値のないアクリルケースにレーザー加工を施した「TUZURA」と、それぞれのネーミングもよく考えられた作品です。無印良品店舗にて展示ということもあり、質感や色など、販売されている商品との整合性も考慮されています。展示のために新たに作り直したチームもあるとのこと。期間中、学生らも店舗に立ち訪れたお客様に作品を説明、なかには「実際に販売して欲しい」といった嬉しい声をいただいた学生もいました。

 オンラインで参加した空間設計部 磯野さんからは「それぞれ制作したものに対する思いがよく伝わり、とても良いプレゼンテーションでした。7年前にイデーのプロジェクトで服部先生から聞いた“引退後の野球選手のセカンドキャリアを考えたとき、まったく別のキャリアを考えるよりコーチや監督になるという例え話が、本来の機能や本質を考える”というアップサイクルの心得をいつも思い出します。廃棄を減らし社会へ戻す、このことを授業でできたことが良かったです」とコメントをいただきました。イデー担当 中津さんからは「アップサイクルの取り組みを7年近くやっていますが、実際に商業ベースに乗せることの難しさを感じています。皆さんが制作したものは純粋であり発想の転換があり気持ちの良いものになったと思います。すごく刺激を受けました。制作した経験やアップサイクルの考え方は、今後、ますます重要になっていくと思います。学生の皆さんはこの経験を生かして進んでいっていただけたら嬉しいなと思っています」との言葉をいただきました。
 藤山店長からは「着眼点が本当に面白いなと思いました。個人的には“女優ミラー”は目から鱗でした。ただシンプルなだけでなく、時代性や用途を考慮し対応していかなければと刺激を受けました。着眼点の新しさは勉強になり自分も考えたくなりましたし、店舗のメンバーにも促していきたいと思いました。もう一つ、何名かの学生さんとお話しして、どの作品が良かったかを聞いてみました。すると、大半が自分のチームの作品を挙げてくれました。何ヶ月にも渡って作り上げたという自負もあるかと思いますが、すごく良いことであり、すごい力だなと感じます。今後もいろいろなことに携わっていくと思いますが、意志を持って臨んでいただくと素晴らしいのではないかと思います」と嬉しい言葉をいただきました。
 作品のコンセプトや制作のクオリティも高く、印象的な展示と講評会になりました。社会的な課題やニーズに応えるデザイン思考やプレゼンテーションスキルを身につける貴重な機会となりました。

“HOOK HOOK”

“anywhere -どこでも-”

“光のあたる家具”

“coconi”

“TUZURA”