特別客員教授ヒグチアイ氏特別講座 学生のアレンジ、演奏で新曲「この退屈な日々を」レコーディング

 2023年9月28日(木)、東キャンパス2号館にて特別客員教授 ヒグチアイ氏による特別講座「やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのか~実践~」を行いました。
 今回の講座は、2023年6月に行われた講座の最後で発表された新曲「この退屈な日々を」を、学生のアレンジ、演奏でレコーディングするものです。プロの現場を学内で再現、学生が自由に見られるようにするもので、文字通り実践的な内容となりました。
 「この退屈な日々を」は、2023年10月劇場公開の映画『女子大小路の名探偵』に主題歌として書き下ろされた作品。あらかじめ録音されているデモ版のヴォーカルトラックを生かし、演奏部分を新たに録音、置き換えていく作業となります。

 アレンジを担当したのは、音楽総合コース 4年 首藤蒼門さん。「やりたいことを思いきりやってみました」と語るとおり、パートによってはかなり複雑なアレンジとなっています。演奏は、ピアノ 3年 棚澤実尋さん、ドラム 3年 清水碧斗さん、ベース 4年 パクジファンさん、ギター 3年 カクさん、パーカッション(コンガ) 2年 関谷百加さん、コーラス 2年 天音さん、ストリングス 2年 村瀬芽吹さん、2年 齋藤麻生さんと、プロフェッショナルアーティストコース、弦管打コース、ポップス・ロック&パフォーマンスコース、サウンドメディア・コンポジションコースの学生らによる編成で、音楽領域の総力をあげての取り組みとなりました。録音は、サウンドメディアの学生が行います。ピアノは大アンサンブル室、その他の楽器はレコーディングスタジオ、コンソール室は見学の学生も出入り自由とし、ヒグチアイ先生と演奏者とのやりとりも見られるようにしました。さらに、各レコーディングブースとコンソール室とやりとりの映像も2号館ホワイエに大型スクリーンを用意し、多くの学生が見られるように設置されました。これらは、サウンドメディアコースの学生らが設置、ふだんから演奏会の配信を行っている経験が生かされました。

 レコーディングは、デモ版のヴォーカルに合わせ、まずはピアノ、ドラム、ベース、ギター、パーカッションを録っていきます。一斉に演奏して録りますが、もともとのデモ版とごくわずかなズレがあり、グルーヴ感がもうひとつ。クリック音よりも一緒に演奏しているドラムの音やヴォーカルに合わせる指示が入り、録り直していきます。何度か試すうち、心地良いグルーヴ感が生まれてきました。ここからは、楽器それぞれでやり直したい部分だけを演奏し、差し替える方法で修正していきます(パンチインレコーディング)。コンソール室と演奏者で合意できたところでOKテイクとなります。このやりとりが、実際のレコーディングと同じもので、プロの現場を見るような臨場感でした。
 演奏に参加したドラム担当の清水さんは「自分にとって2度目のレコーディングがヒグチさんの楽曲で緊張しました。スネアの音にはこだわりを持って演奏しています。ぜひ、聞いて下さい」とコメント。ベースのパクさんは「アレンジが複雑でフレーズが難しかったけど、アレンジの意図をいかせるように演奏しました」、ピアノの棚澤さん「みんなに迷惑をかけないようにと緊張しました」と、良い緊張感を持ちつつ楽しく演奏できたようで、それぞれが充実した笑顔を見せてくれました。
 基本の楽器がOKとなり、続いてストリングスとコーラスをレコーディング。同じように全体を録音して、修正部分をパンチインする形で収録しました。
 最後のパートは、スタジオに入りきれる人数が集まってクラッピングを録音。皆、大はしゃぎでレコーディングは終了となりました。

 3時間あまりと、こうしたレコーディングとしては異例の短時間での収録となりましたが、無事に形にすることができました。演奏した学生ら、また、スタッフとしてのサウンドメディアコースの学生らの集中力が功を奏しました。
 最後に、完成した曲を皆で聴きました。ヒグチ先生からは「『やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのか』ということで、2回の講義を行いましたが、好きなことや自分の得意なことに対して柔軟な気持ちでいることが大切。環境が変わっていき、音楽が好きでないかもと考えてしまったりすることもあります。私自身、人に喜ばれることや、人から必要とされることに喜びを感じ、現在も音楽にかかわっています。自分に似合うことを見つけ、自分のやり方を探しながらやっていって欲しいです」と言葉をいただきました。

 今回、収録された作品「この退屈な日々を」名古屋芸術大学バージョンは、「未決定ですが、配信など何らかの形で聴けるようにします」とのことで、決まり次第お伝えします。