大学院ライフスタイルデザイン研究 JIA東海支部とコラボレーション、絞り染めで古着をアップサイクル

 大学院デザイン研究科ライフスタイルデザイン研究では、日本建築家協会(JIA)東海支部とコラボレーションし、2023年11月9、10、11日に常滑市で開催される「JIA建築家大会2023東海in常滑」にて発表されるアップサイクルな取り組みとして、古着を染め直した作品を制作しています。2023年10月23日(月)、JIA東海支部のメンバーである建築士の関口啓介さん、上原徹也さん、黒野有一郞さんを染色工房にお招きし、染色作業を見学、体験していただきました。

 実際に作業を行うのは、大学院デザイン研究科(ライフスタイルデザイン研究)川原明さん。今回の企画に賛同し染色工房を快く開放した扇千花 教授(テキスタイルデザインコース/大学院デザイン研究科)の監修、同じくテキスタイルデザインコース卒業生で、現在、染色工房技術職員を務める山下眞美さん指導の下、ライフスタイルデザイン研究に在籍する他の学生たちも参加して作業を行いました。  今回の染めは、絞り染め。輪ゴムや紐などで生地を括り、染めむらを作り出し模様にする染色法です。さらに、テキスタイルデザインコースが例年かかわっている有松の絞り技法である、棒に巻き付けて鰯雲のような模様を作り出す群雲(むらくも)絞り、テキスタイルデザインコースで手ぬぐいの染めにも使う板締め絞りにも挑戦しました。染めの色は、大会のテーマカラーである紫という指定があります。テーマの紫は、とこなめ陶の森にある陶芸研究所(旧常滑市立陶芸研究所)がモチーフです。外壁はおよそ350万枚の紫色のモザイクタイルで構成されており、4色のタイルでグラデーションが表現されています。この色合いに近づけるよう、技術員の山下さんが綿密に調合した染料が用意されました。
 素材となる古着はあらかじめ準備され、この日までに“括る”作業を終えています。当日、お越しいただいた建築士のみなさんには、JIA建築家大会でユニフォームとして着る私物の古着をお持ちいただきました。さらに、前回までの建築家大会で使われて残ったトートバッグやユニフォームなど、さまざまな素材が持ち込まれました。すでに役割を終えたこれらのものがどのようになるのか、期待が高まります。

 染めの作業は、水に浸けておいた素材を、60度から100度に温度管理された鍋で染める作業です。生地全体に均等に染料がいきわたるように途中で攪拌するなど、温度と時間を計りながら行う手間のかかる作業で、冷ます時間も含め3時間ほどの工程です。これらの作業を、ライフスタイルデザイン研究の学生が分担して鍋の番を行います。その間、川原さんと山下さんに教えてもらいながら、建築士のみなさんには、持ち寄った古着の括りを体験していただきました。括った部分には染料が入らず色が付かないことを説明すると、こうしたらどうなる、あれをやってみたいと、絞りに興味津々の様子。好奇心を大いに刺激したようでした。

 一度目の染色が終わり洗いの作業に移ると、学生にまじり建築士の方々も一緒に作業に参加。模様が現れると、イメージ通りの色合いと想像を超える模様に、感嘆の声があがりました。「カッコイイ! これならもう一度着られる」「今回の大会のテーマは“環る”。まさにアップサイクルというテーマにぴったり」「陶芸よりも早く結果が見えて楽しい、ワークショップでやりたい」と、喜びとともに絞りを活用したいとアイデアの声が飛び交いました。染色工房にある過去の学生作品にも話はおよび、絞り染めの魅力を感じる体験となりました。一同、あらためて伝統技法の素晴らしさと魅力に感じ入りました。
 今後、新たなコラボレーションも始まりそうな、絞り染めのさらなる広がりを感じさせる1日となりました。

JIA建築家大会2023東海in常滑 私たちからできること JIA東海支部×名古屋芸術大学