テキスタイルデザインコース 有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト、最終講評会を開催

 テキスタイルデザインコース「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」は、学生が有松絞りを使いオリジナルデザインの手ぬぐいを制作し、毎年6月に行われる「有松絞りまつり」の会場で販売するというプロジェクト。ドイツで活動するSUZUSAN クリエイティブ・ディレクター 村瀬弘行氏にオンラインでアドバイスしていただきプロジェクトを進めて来ましたが、2023年12月20日(水)、村瀬さんが来日したタイミングに合わせ、完成した商品とパッケージ、販売時のコスチュームなどを見ていただきました。

 この演習は例年行われている実習で、手ぬぐいを商品と見立て、ブランドを考案しブランドコンセプトに基づいて商品を企画、制作、パッケージやショッパーバッグも学生が用意し実際に販売する店舗もプロデュースするという、盛りだくさんの内容。今年は、3つのグループに分かれ、「BLUEM」「お結び」「feeL」という3つのブランドを立ち上げました。
 それぞれのブランドが、ブランドイメージを決めるために制作したムードボードと想定する顧客3名を具体的に記したバーチャルカスタマーのボードを制作、包装とショッパーを展示して販売時のコスチュームを身につけ、また、手ぬぐい以外にも販売する小物なども用意して、本番さながらにプレゼンテーションを行いました。

 「BLUEM」は、青”BLUE”を基調としつつ、花が咲くことを表す”BLOOM”を合わせたスタイリッシュなイメージのブランド。販売コスチュームも白のシャツに黒のスカート・パンツで揃え、染めた手ぬぐいのB反で作った襟をあしらいます。パッケージもお菓子のような凝った包装で、洗練されています。小物として用意されたB反で作った指輪も可愛らしく仕上がり、ブランドイメージのスマートで高品位な感じが上手く表現できています。村瀬さんは「有松絞りは、ほっこりとしたイメージが強く、絞りまつりでもそういうお店が多いので、グラフィカルな商品はとても良いと思います」と評価しました。
 「お結び」は、人・文化・想いを結び付けるということで、和食や日本文化がテーマです。名前の通りおむすびをイメージし、手ぬぐいを三角にたたんだディスプレイが印象的です。販売コスチュームもお洒落なお弁当屋さんといった趣で、心がほっこりとするイメージです。村瀬さんは「メンバーにとってもわかりやすく想像しやすいテーマを選んで、上手く意思統一ができていると思います。ブランドネームを考えたときから筋道ができているような感じで、いいブランディングのやり方だなと思って見ていました。高級なお弁当屋さんが、どんなふうに商品を販売しているのかリサーチしてみるといいと思います」とコメントしました。
 3つ目のブランドは「feeL」で、色から感じる感情をテーマにカラフルな色合いの商品が並びます。「ゆかい」「さわやか」「ひらめき」「なごみ」「あこがれ」と商品それぞれに名前が付けられ、花束のように包んだパッケージも非常に華やかです。直線的なデザインとカラフルな色合いが新鮮な印象となりました。コスチュームは、北欧の民族衣装をイメージするようなカチューシャとスカートに手ぬぐいをレイヤード、可愛らしく仕上がっています。パッケージは悩んでいるようで、花束のパターン、小さな鉢植えのように包んだパターン、たたんで帯を着けた通常のパターンの3種類を用意しています。村瀬さんは「(花束のパターンを手に取り)これ、みんな欲しいよね! 人にあげるのがもったいないくらい」と相談に乗り、パッケージを選びました。

 扇教授から、昨年の手ぬぐいプロジェクトでは販売2日目の早々に完売となり今年は昨年よりも商品を多めに用意したと説明があり、今年はどういう方針で販売するか村瀬さんを交えて全員で相談することになりました。村瀬さんからは「2日間で売り切れることがわかっているならできることは2つ。ひとつはもっとたくさん商品を用意する、もう一つは価格を上げること」と解説し、日本の商習慣では後者を選択することはあまりなく、欧州では価格を上げることが主流と説明します。「学生がやっていることだからお金はさほどかかっていないかもしれませんが、本来であれば、デザインやパッケージングに手間もかかっているし理解してもらえるのでは。100円でも値上げしてみることを検討してみてください」と課題が与えられ、各ブランドの店長が話し合って決めることとなりました。

 講評会の後は、村瀬さんに聞きたいことを質問する時間が設けられ、ブランドを立ち上げようと思った理由や、最初の頃はどんなことをしたなど、アパレル業界で働きたいと考える学生から質問が上がり、活発な意見交換の時間となりました。 課題に合わせた販売やマーケティングの考え方、また、アパレル業界の第一線で働く村瀬さんのお話は刺激的で、意義深い講評会となりました。
 講評を受け、ブラッシュアップして2024年6月、有松絞りまつりに出店となります。ぜひ有松にお越しください。

BLUEM

お結び

feeL