名芸卒業生トークイベント「私の出発点~そういえば、原点(ルーツ)は、名芸だよね」

 2023年度卒業制作展記念講演として、2024年2月23日(金)に、本学卒業生の田中里奈さん(アーティスト、2012年 洋画2コース卒業、非常勤講師)、伊集院一徹さん(南伊豆新聞・南伊豆くらし図鑑 編集長/イラストレーター 2011年 ライフスタイルブロックデザインマネージメントコース卒業 )、佐藤ねじさん(プランナー/アートディレクター 2004年 デザイン造形実験コース卒業)の三氏による、「名芸卒業生トークイベント 私の出発点~そういえば原点(ルーツ)は、名芸だよね」を行いました。

 ファシリテーターをスペースデザインコース 駒井貞治教授、コミュニケーションアートコース 松岡徹教授、現代アートコース 吉田有里准教授が務め、ユーモアを交えつつ和やかな雰囲気のトークショーとなりました。はじめに、現在どんなことをやっているかそれぞれのプロフィールの紹介、その後、4つの質問に答える形で進められました。

 田中里奈さんは、これまでに制作した作品を紹介しながら作品のモチーフとなっているお寺など作品の背景となっている考え方、記憶に頼って制作していること、遠近法や配色など複数の表現技法を混在させている現在の創作について紹介してしていただきました。
 伊集院一徹さんは、学生時代に芸祭実行委員長を務めたことから話を始め、就職したものの仕事内容と自分のズレを感じつつ、南伊豆で地方創生事業に関わり移住、起業して編集者、イラストレーターとして地域メディアを立ち上げたことを説明。コロナ禍で仕事がなくなったときにそれまでの経験を漫画にするなど、さまざまな働き方をしているといいます。
 佐藤ねじさんからは、プランナーとしてやってきた仕事として、一晩かかって人狼ゲームをするホテルの宿泊プラン、子供服の企業と協力して親が助かる子供服の「アルトタスカル」、赤ちゃんが一緒にいないと遊べないゲームなど、自由でユニークな発想から生まれている数々の仕事を紹介していただきました。

 自己紹介のあと、Q1.大学ではどんな学生だった? Q2.就職とか、将来どうなりたいと思っていた? Q3.卒業制作の思い出は? Q4.学生へのメッセージ、の4つの問いに答える形でトークは進められました。
 田中里奈さんからは「学生時代、絵で悩んでいると吉本作次先生が、直接話すのではなく、刺激になりそうな画集をアトリエの隅に積んで置いてくれるんです。私がいないうちに、小人が出てきてやってくれたみたいに積んで置いてくれて、自分の作品に取り入れていったというのが、すごく印象に残っています」。
 伊集院一徹さんは「ライフスタイルの萩原先生はとても怖かった(笑)。課題なんかも、できてるのか? ハイ!できてます、と答えてその日に徹夜したりだとか。そういうやりとりを重ねた学生時代でしたね」。
 佐藤ねじさんは「僕は、今でいう先端メディアかな、プログラミングとか映像をやっていました、津田先生ですね。劇団と二足の草鞋だったんで、課題ばっかりでもなくそれほど怒られることもなく、メディアデザインは良いコースでしたよ(笑)」と笑わせました。
 会場には、洋画コースの吉本作次教授、 ライフスタイルデザインコース 萩原周教授、先端メディア表現コース 津田佳紀教授の姿があり、「おかしいな……(笑)」(萩原教授)といった声が漏れる一幕もありましたが、それぞれの恩師との温かな交流も会場を和ませました。
 「学生時代から作家になるつもりでいたので就職活動しなかった」(田中里奈さん)、「本当にわからないという感じ。5年前でも、自分がゲストハウスをやっているとか、まったく思ってなかった」(伊集院一徹さん)、「宣伝会議の本を開いて、ここに載っている会社なら大丈夫みたいな感じで入って、ぜんぜん面白くなくて。学生時代に面白かったことでぴったりの職業ってなかなかない。自分も20代は迂回した感じです」(佐藤ねじさん)と人それぞれに惑いながらも、自分の学んできた基本に立ち返るようにして今につながっているといえます。
 学生時代にやっておいたほうが良いことについては「ブライトンに留学して、海外の美術館を見てきたことは本当によい経験」(田中里奈さん)、「気になることがあったら行く、そこで一次情報、リアルな情報をとることですね。そこで出会う人、どこで繋がるかわからない」(伊集院一徹さん)、「定年が60歳だとすると40年あるじゃないですか、40年後のこと考えると正解なんか絶対にわからない、正直AIとかでめちゃくちゃ変わる。何が武器になるかわからない。でも人間であることは変わらないので、基本的なことが大事では」(佐藤ねじさん)と、誰もが経験したことや人との出会いを大切にしているといいます。
 駒井教授は「名芸のポテンシャルをあらためて感じました。皆の情熱みたいなものもすごく感じます。先輩後輩のつながりなどさらに強くしていくことも、今後も大事にしていって欲しいと思います」と締めくくりました。