2026年6月6日(土)・7日(日)の2日間、第42回有松絞りまつりにおいて、テキスタイルデザインコースがオリジナル手ぬぐいブランドを出店しました。この取り組みは、2009年から続く産学連携事業「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」の一環として行われているものです。テキスタイルデザインコースの学生たちは、有松絞りの技法を学びながら、2年次にブランドコンセプトの立案からデザイン、染色、パッケージ制作、ショップ運営計画までを行い、3年次に有松絞りまつりで実際に販売を行います。
今年度は「Calme blume(カルムブルーメ)」と「六月の星」の2ブランドを展開。学生たちは一人10本ずつ手ぬぐいを制作し、販売用のパッケージや販売時のコスチュームまで含めてブランドの世界観を形にしました。また、学生が板締め絞りを学んだ有松の老舗「張正」でも、手ぬぐいを販売しました。
「Calme blume」は、花をモチーフにしたブランドです。「あなたの日常を彩る一輪の手ぬぐい」をキャッチコピーに、日々の暮らしに寄り添う一枚を目指して制作されました。
店長を務めた市橋桃華さんは、「ブランド名から発想を広げ、ムードボードを作成しながら深みのある色彩を選定し、花をモチーフにした落ち着いた世界観を構築しました」と話します。パッケージにも工夫を凝らし、「当初は手ぬぐい自体を花の形に見立てる案を考えていましたが、最終的には花の切り絵を施したパッケージを採用しました。それぞれの手ぬぐいの柄に合わせて異なる花の切り絵を制作し、ブランドイメージの統一を図りました」と振り返ります。
市橋さんは、「切り絵が素敵だと言ってくださる方も多く、とてもうれしかったです」と語り、販売初日に全商品が完売したことについては、「1日目で完売したことに驚きました。学生が染めた柄を『斬新で面白い』『ほかでは見ない』と言って選んでくださる方が多かったです」と笑顔を見せました。
一方、「六月の星」は、「雨の中、あなたのそばでかがやく星」をテーマにしたブランドです。
店長の大吉史奈さんは、「男性にも使ってもらえるブランドにしたいという思いからスタートしました」と説明します。「青や水色を中心とした寒色系の色彩に黄色の差し色を加え、暮らしに華やかさを添えるデザインを目指しました」と話しました。
ブランド名については、「一番星のような存在をイメージして『星』という言葉を入れました。絞りまつりが6月に開催されることから、『六月の星』と名付けました」と語ります。また、染色の際に生まれた星形のたたみ方から着想を得て五角形のパッケージを制作。ショッパーや展示にも星のモチーフを取り入れ、ブランドの世界観を表現しました。
実際に販売してみると、「若い男性のお客さまにも多く購入していただき、想定していたよりも年齢層が若かったです」という発見があったそうです。さらに大吉さんは、「グループのみんなが積極的に意見を出してくれて、本当に助けられました。みんなで一緒にお店をつくり上げたという実感があり、とても良い経験になりました」とプロジェクトを振り返りました。
販売は大変好調で、「Calme blume」は初日の6日に完売。「六月の星」も翌7日には用意した商品をすべて売り切りました。7日はあいにくの雨となりましたが、多くの来場者が学生たちのブースを訪れ、手ぬぐいを手に取りながらデザインや染色技法について質問する姿が見られました。また、張正で販売した板締め絞りの手ぬぐいも好評を博し、完売となりました。
有松絞りまつりでは、卒業生たちの活躍も見ることができました。卒業生が運営するブランド「まり木綿」は板締め絞りのワークショップを開催。昨年、子育てを機に店舗営業を終了して工房へ活動の場を移したものの、有松絞りまつりでは販売ブースを設け、再会を待ち望んだファンをはじめ多くの来場者で賑わっていました。
さらに、A STORE HOUSE(旧山田薬局)では泉奈穂さんによるブランド「samio」が出店。知多木綿と天然素材による草木染めにこだわった作品が並び、その繊細な色彩と表現に多くの来場者が足を止めていました。
有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクトは、伝統技術を学ぶだけでなく、商品企画、ブランディング、接客、販売までを一貫して経験できる実践的な学びの場です。自ら考え、制作した商品が実際にお客さまの手に渡り、その反応を直接受け取る経験は、学生たちにとって何ものにも代えがたい学びとなりました。
伝統産業とデザインを結び付けながら新たな価値を生み出す取り組みとして、今年も大きな成果を挙げることができました。