名古屋芸術大学

鷹野 雅史 准教授

電子オルガンコース

音楽好きが生き生きと勉学ができる、それが音楽総合コース

音楽総合コースの学生のスキルを心配するような声があったと伺いました。実際に実技を担当され、いかがですか?

 電子オルガンを選択してくるのですが、専科の学生よりも余程できる学生もいます。 専科としても十分できるんですがずっと総合コースにいる、そんな学生もいます。学生に、どうしてうちの大学を選んだのか理由を尋ねてみると「自由な校風がいい」と言います。専門性をなくしてしまう音楽総合コースというものは、音大としてどうなのかという問題もありますが、学生側から見れば、好きな音楽のことをどんな領域であっても自由に学ぶことができる、超高級な遊び場みたいに見えるのではないでしょうか。専科の新入生はコースによってカリキュラムは基本的に決まっています。しかし、総合コースの新入生はカリキュラムの自由度を主体的に活かして自ら学ぶ姿勢を前面に押し出してくる学生がいます。総合コースをなめつくすようにして、この環境を徹底的に活用していくモチベーションの高い積極的な学生が多いと思いますよ。

中河先生は「お試し」とおっしゃっていましたが、そういう学生もいますか?

 音楽総合コースでやっぱり音楽を中心に据えたいという学生が、専攻を決めずに総合コースで入学し、試してみて大丈夫だと分かり改めて選択する、そういったパターンもあります。電子オルガンコースのカリキュラムに付いて行けるか心配していたのが、試してみてから選択するということですね。こういったことを学生たちは、割合気軽に自由に考えてくれています。自由な校風といますか、そういう気安さがありますね。電子オルガンの場合は、総合コースに入ってきて、実際に電子オルガンコースを選択し大丈夫だとわかれば3年生から転科する、そのパターンが多いです。

電子オルガンの場合、ほかにはどんな選択をする学生が多いですか?

僕は、エレクトーン一筋という感じですが、学生にはすごいのがいます。電子オルガンでいえば、ヤマハのエレクトーンが一番メジャーなのですが、このような環境を扱っているとハード面に興味を持っている人が多くいます。シンセサイザーを勉強したり、コンピューターがものすごく使えたり、作曲やヴィジュアルの方面にも関心があったり、自然な流れでそれを勉強したいと思う学生が多いです。そういう学生にとっては、音楽総合コースの方が、間違いなくカリキュラムが取りやすいですね。専科の僕のレッスンを受けながら、時間をつくってサウンド・メディアも勉強する。そういう学生の存在を頼もしく思っています。

3・4年次に専門性を身につけるという方針ですが、うまくいっていますか?

 中河委員長はバイキング料理だと言っていますが、あちこちのいろんな料理を食べてきて、卒業する段になってバイキングを食べてきた人たちがどんなふうに社会から見られるのか気を付けないといけないよと。ある程度、専門を決めた方がいいよと、勧めてきました。しかしながら、最近では専攻を選択できる十分な力がありながら、総合だけで卒業する学生が増えてきています。実際のところ、それはそれでいいのかなという気もしています。本当に幅広く学んで専門家になる人もいれば、一般の企業に就職する人もいます。どんな形で社会に出るのであれ、芸術にかかわっていくという意味においては音楽総合コースというのは、幅広く社会のニーズに対応することができ良いことなのかもしれません。

オリエンテーションはどんな雰囲気でしょうか?

 フレッシュマンキャンプで、缶詰めになってカリキュラムを作りますが、中には年間に取れる単位以上のカリキュラムを取ろうとして、わあっと書いてくるような向学心のある学生もいます(笑)。僕らからすればちょっと空回りしているという気もするのですが、逆にいえば、それぐらい期待して入って来てくれているわけです。「頑張ればできます!」「いや、単位には上限があるんだよ」というやり取りがあって、現実的な履修届になるわけですが(笑)。面談の時にも、「1年で取れる単位に上限があることを止めていただけませんか」とうれしい文句が出ることがあります。「そうでなくっちゃ」と言いたいですね。僕を含め、音楽学部にいる先生も学生も、誰もが音楽好きです。それが素直に向学心に結び付き、音楽好きが生き生きと勉学ができる。それが、音楽総合コース。こういう言い方もできると思いますよ。大学というのは本来自分から能動的に学ぶところです。音楽総合コースというのは、本来的な意味で大学教育というものに近いのではないかとも思います。

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