『市野鷹生展2022』がギャラリー名芳洞で開催

 2022年4月13日からギャラリー名芳洞(名古屋市中区錦1丁目20-12)で開催中の、本学日本画コースの元教授、市野鷹生先生の個展にお邪魔しました。

 少女の何気ない仕草、動物の親子等をモチーフに「無垢」「安らぎ」「慈愛」を表現した市野先生らしい世界が展開される中、ギャラリー中央には鬼気を纏ったかのような大きな作品が二点。

無題

無題

『無題』

 「連日テレビで報道されるウクライナの惨状に深い悲しみと憤りを感じています。また同じ過ちを繰り返してしまうのか。理不尽に奪われた子供達の魂や、深く傷ついた人々の心に救いが訪れますようにという祈りを込めて描きました。」
 ウクライナ国旗の色で表された中央の球体の中は、よく見ると、子供達の魂がいくつも折り重なっているのが見て取れる。

寒山拾得

『寒山拾得』

 中国 唐時台、伝説上の二人の詩僧を通じ世俗の権威主義・価値観を否定した森鴎外の短編小説「寒山拾得」を奇想した。

 先生は「偶然です」と微笑んでいたが、『無題』『寒山拾得』の二点は、人間それ自体の尊厳を踏みにじったかの国のリーダーへ突きつけた切っ先のように感じました。

 悪天候にも関わらず今回も、先生の作品・人柄を慕って大勢の来場者が訪れていました。
 『市野鷹生展』最終日は5月1日(日)までです。