テキスタイルデザインコースは、2024年6月1日(土)、2日(日)の二日間、「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」として有松絞りまつりに販売ブースを設け、学生がデザインし染色した手ぬぐいを販売、好評を博しました。
テキスタイルデザインコースでは、2009年から有松絞り産地と産学連携授業を実施、絞りの技法を学び、手ぬぐいをブランドの商品と見立てブランドイメージに合わせてデザインし制作、販売ブースは販売方法、包装やショッパーなども考え、実際に販売するという実践的な課題です。今年度は、「BLUEM」「お結び」「feeL」という3つのブランドを立ち上げました。
「BLUEM」は、青を基調としつつ、花が咲くことを表す“BLOOM”を合わせたスタイリッシュなイメージ、「お結び」は、人・文化・想いを結び付ける和食や日本文化がテーマ、「feeL」は色から感じる感情をテーマにしたカラフルな色合いの商品となっています。手ぬぐいのほか、同じデザインのアクセサリーや巾着袋など、ブランドごとに小物も販売します(→記事はこちら)。
販売ブースは、このプロジェクトで例年お世話になっているSuzusanが手がけるスーベニアブランドの「tetof 1608」の隣のスペースと好立地。また、やはり例年、染色でお世話になる「張正」さんの店舗でも販売させていただきました。また、今年からは張正さんの豆絞り手ぬぐいのB反(染めむらなどちょっとした難点のある二級品)にさらに模様を加えたアップサイクル商品も併せて販売しました(→記事はこちら)。
コロナ禍を経て多くの人が訪れる有松絞りまつりですが、今年40回目を数え特別なプログラムもあり、これまでにないほどの人出となりました。土曜日の午前中から、子どもを連れたファミリー層や浴衣のカップルを見かけることが多くなり、また、キッチンカーや屋台村の出店もあり、年に一度のお祭りイベントとして認知されてきたことを感じさせます。これまでは、端切れを求める“絞りファン”といったお客さんが中心でしたが、徐々に変わりつつあるという印象です。
販売ブースでは、開店と同時に調子よく売れていきます。1,800円という手ぬぐいとして他のショップと同等以上の価格設定ですが、足を止め商品を手に取る方がたくさんいらっしゃいました。中には、毎年買いに来るというお客さんもおられ、何枚もお買い上げいただいくこともありました。巾着袋も好評で、午前中に売り切れてしまったものもあるほど人気となりました。
メインの古い町並みから離れた張正さんの店舗には、張正ファンの目の肥えたお客さんがたくさん訪れます。こちらでは、板締めで藍色単色の商品と豆絞りのアップサイクル商品を販売します。学生たちはお客さんに声をかけ自分で染めたことやデザインのモチーフなどを説明、納得して非常に喜ばれていました。こちらでは通常の板締め絞りとは一風異なった学生の個性がよく表れたものが人気となりました 。売れ方を見ていると、お客さんと会話が弾み作品の背景を理解していただいたものがやはりよく売れます。商品の魅力もさることながら、商品の背景にあるストーリーや考え方が売れ行きにかかわるということを実感しました。
絞りまつりでは、テキスタイルデザインコース卒業生もさまざまな場所で出展、活躍しました。絞りの実習でもお世話になる「まり木綿」は、販売店舗を一旦閉め、工房での販売を強化するとのこと。店舗で販売する絞りまつりは今回が最後となり、惜しむようにたくさんのお客さんが訪れていました。
また、昨年に続き、今年も泉奈穂さんのブランド「Samio」が旧山田薬局のA STORE HOUSEにて出店、こちらも人気を博していました。
2日目の日曜日は生憎の雨となりましたが、学生ブランドの「feeL」は完売、「お結び」「BLUEM」も概ね売り切ることとなりました。自分が作ったものをお客さんの手にとってもらうまでを体験する、プロジェクトを締めくくる有意義なものとなりました。