イベント

「第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜」受賞者が決定しました

2023.04.18~2023.04.23

展覧会

名古屋芸術大学では2023年4月18日(火)〜23日(日)『第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜』が開催されます。
2023年2月に本学キャンパスで開催された卒業・修了制作展において優秀な成績を修めた卒業生17名を一堂に集め展示致します。
また、近年国内外で目覚ましい活躍を続けるキュレーター/グラフィックデザイナーの堤拓也さんを特別審査員としてお招きし、作品審査をお願いすることになりました。

2023年4月19日(水)に特別審査員として 堤拓也さん(キュレーター、グラフィックデザイナー)にお越しいただき作品審査を行ない、
グランプリ 1名 準グランプリ 2名 の受賞者が決定しました。

●グランプリ
高岡卓史  「irene project」

●準グランプリ
新川未悠 「山にふれる方法」
山本将吾 「[ ]」、「smooth stone」、「∞」


特別審査委員 堤拓也 (キュレーター、グラフィックデザイナー)
1987年生まれ、滋賀県大津市在住。キュレーター、グラフィックデザイナー。 2019年アダム・ミツキエヴィチ大学大学院カルチュラル・スタディーズ専攻修了。 主なキュレーション実績に、国際芸術際「あいち2022」(愛知、2022)、「血の塩、余の光」(東京・京都、2021年)、ドライブイン展覧会「類比の鏡」(滋賀、2020年)など。展覧会という限定された空間の立ち上げや印刷物の発行を目的としつつも、アーティストとの関わり方に制約を設けず、自身の役割の変容も含めた有機的な実践を行っている。

以下、特別審査員 堤拓也さんのコメントです。

  • ●グランプリ
    高岡卓史 「irene project」

    トロンボーン、バリトンサックス、コントラバス、ドラム、チューバ、テナーサックス、トランペットと、自身が立ち上げた楽団メンバーそれぞれの演奏形態に合わせた椅子を設計し、なおかつ、各楽器を置いておける展示台のようにも機能する本プロダクトの完成度を評価した。自身もサックス演奏者である経験から生まれた、未来希望性(「こんなものがあったらいいのになあ」的な)と現実否定性(「こんな椅子がない現実がむしろおかしい」的な)をデザインによって達成しようとしたところは、アートやデザインといったジャンル関係なく賞賛に値する。また実際、展示という枠組の中で製品をプレゼンテーションし、より多くの観客に周知しようとする本機会においても、たとえばiPadを用いて映像を提示したり、楽譜に見立てたキャプションがあったり、場合によってはその2点専用の什器すらも自らの設計であったりと、数多くの工夫と譲れない質への探究心が見られた。これまでなかった耐久性を持つ物質を世界に1点新規投入したという点で、意義深い仕事だと考えられる。

  • ●準グランプリ
    新川未悠 「山にふれる方法」

    リサーチベースのプロジェクトやインスタレーションが無数に存在している昨今のアートワールドにおいて、出身地である愛知県新城市で祖父と父が携わっている林業にフォーカスし、かつてその祖父が71年前に見た「太い杉の木」を一緒に見つけにいくというアートドキュメンテーションは、場合によっては見慣れた手法と言えるかもしれない。手ブレが激しい映像だけではなく、歩んだ場所を示す地図や、発見した大木の部分的な1/1モデルを並列したようなインスタレーションは、正直なところ、美学的により洗練されるべきという意見もあるだろう。しかしながら、絵画や彫刻といったクラシカルな形式と同様、こういったものが卒業制作展の段階で——こういって良ければ非常に無垢的に出現しているという点で評価することは、いま大学で芸術を学んでいる後続世代にとって意味があると考えた。仮にも絵画が強い地域性の中で、時代の要請やメディアの多様化を汲み取り、とはいえいずれ消えゆく祖父の経験や彼の生そのものを「芸術に便乗して」定着しようとした試みは実際、十分な見場を持つ作品でもあった。

  • ●準グランプリ 
    山本将吾 「[ ]」 「smooth stone」 「∞」

    3つのシリーズを空間内に展開した本展示自体の功績というよりもむしろ、これに先立ち実施された「名古屋芸術大学卒業制作展」(会場:名古屋芸術大学西キャンパス)からの作品および展示の更新性を評価した。話はやや迂回するが、美術史的にミニマリズムが作品の自律性を放棄してしまった以上、極論、インスタレーションは異なる観客が訪れる度にすべてが新作とも言えるくらいその「状況全体」は変化し続ける。とはいえそれでは作品の外郭を定位できないがために、「いったん流動的な観客のことは忘れて、展示環境や空間くらいまでを作品の一部にしておきませんか?」という現実的な取り交わしがあると考えている。それゆえに本作は、名古屋芸術大学でも、愛知県美術館でも同作品として措定可能であり、また別の会場でも同作品としてインストールされ得るが、その中でも人間の認識を扱う《[ ]》は今回、その意図性がために、前回に比べて大きな変更がなされている。かつて1対の大きな准矩形は、本展示では3枚の小さな矩形となって空間に収まっているのだ。そういった環境・状況に合わせて配置の技芸以上のスケールで変更してくる狙い深さは、着目に値する。

●第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜
会期:2023年4月18日(火)〜4月23日(日) ◎会期中無休
10:00〜18:00(金曜日は20:00まで、最終日16:00まで)
会場:愛知県美術館 8階ギャラリー H・I室 ◎入場無料
〒461-8525 名古屋市東区東桜 1-13-2 TEL 052-971-5511(代)
アクセス/東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分/瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分

主催・お問い合わせ/名古屋芸術大学
〒481-8535 愛知県北名古屋市徳重西沼65番地
TEL 0568-24-0325 FAX 0568-24-0326

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