卒業・修了制作展 最優秀賞

線は呼吸している

ヴィジュアルデザインコース

鈴木雅也

ヴィジュアルデザインコース 鈴木雅也
 “線の集まりが美しい”という感覚を視覚的に表現し、静止しているにもかかわらず、動いているように見える効果を狙った作品。黒の背景がスリットのように見え、水面の波紋や草原に吹く風を思わせる躍動感と完成度の高さが印象的です。ラインを構成するパーツは、1本線、2本線、3本線、角度を付けた線、グレーの線の7種類。それらを組み合わせてパターンを作成し、ラインとラインの透き間によって“動き”を表現しています。
 制作にあたり、当初は立体作品も検討していたとのこと。線の動きを探るため、うどんを茹でて板に並べてみたり、紐をねじって吊るしてみたり、トレーシングペーパーを細く切ったインスタレーションを試みたりと、さまざまな実験を行ったといいます。夏休みには風に揺れる草原を動画撮影、繰り返し観察して、一度はアニメーションを制作。さらに観察することで、静止した平面作品でも動きを表現できることに気がついたと説明します。
 「苦労したのは展示で、作品についてまとめた冊子の製本や、作品の見せ方について、わかりにくいという指摘を受け、展示の配置を調整して、線の揺らぎが感じられるようにしました」。

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