卒業・修了制作展 優秀賞

北名古屋市市長賞

アソビ

工芸コース

古池拓人

工芸コース 古池拓人
 粘土で自由に形作る感覚が“遊び”の感覚に近く、そのことがコンセプトになっています。幾何学的でありながらも歪んだ形の焼き物が、カラフルな釉薬を施されてオブジェとして数多く並べられます。カラフルな作品群ですが、釉薬の色合いに深みがあり、軽やかさだけでない作者の心証を感じさせるものがあります。
 「粘土は形がない素材で、形を持たないことで自由度が高くなる反面、完成形が把握できない」と粘土を扱うことに難しさを感じ、“粘土に仮の姿を与える”という発想から制作が始まったといいます。子供の頃に遊んだブロックを思い出し、粘土でブロックのパーツを作るような感覚で作り始めたそうです。
 作品ひとつひとつが持つ“アソビ”の要素である作品の歪みは、3Dプリンターを使用した制作体験がきっかけだったとのこと。「容易に正確で美しい形を作り出すことができますが、期待を超える驚きは生まれず、物足りなさを感じ、“歪み”や“不完全さ”に人間の手作業の魅力を感じました」 。
 同時に歪みは自分自身の分身であり、個性であることを感じたといいます。「焼き上がりの瞬間に現れる偶然が生む美しさを大切にしました」。

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