デジファブ工房で何ができるの?

 先端メディア表現コースと密接に関係するのがデジタルファブリケーション工房。西キャンパスG棟1階の通路横にある、見慣れない機材が並んでいるガラス張りの部屋です。これらのマシン、3Dプリンターやレーザー加工機といった最新のマシンなのです。もちろん、他の工房と同じように誰でも利用することができます。デジファブ工房ではどんなことができるのか、技術員の星安澄さんにお話を伺いました。

ここにある機械について教えてください

 データを基に切ったり、物を作ったりする機械のことをデジタル工作機械といいますが、この工房はそういうものを入れていて、いま稼働中の機械は3種類(2021年12月現在)、準備しているのが1種類、それから12月中にもう1種類増え、5種類の機械があります。

学生の利用状況は?

 この工房はそもそも5月から稼働を始めましたが、後期になって結構利用が増えてきて、ジワジワと噂が広がっているようです。ガラス張りなので、なんかやってるから入ってみようかなと見に来る学生もいます。メディア系の学生は授業で工房を使ったりしていますが、他のコースの学生も一緒に来て試しに何か作ってみようとか、友達へプレゼントするために小物に刺繍を入れたりという利用もあります。刺繍ミシンは、テキスタイルデザインコースで使いたいというお話があり、学生も見に来てくれています。テキスタイルデザインコースでは、レーザー加工機で切り出した板を使って板締め絞りの木型を作ったりもしました。3Dプリンターは、ほぼ毎日利用しに来るような学生もいます。素材のプラスチックをフィラメントといいますが、たくさん使う学生は、自分でフィラメントを用意して自分専用として使うような利用方法も出てきています。

学生が作るものに対してどのように感じていますか?

 本学がそもそも技術や手しごとにすごく力を入れている学校なので、利用する学生はデジタルを中心とした作品づくりだけでなく、自分が作っているものの一部というか、コレとコレをつなぐ部分を作りたいといったような、アナログとの組み合わせがすごく上手くてびっくりしています。そんな使い方もあったか! と感じることの多い1年でした。

画像データやAdobe Illustratorのデータでいいんだと驚きました。案外簡単に扱えるんですね

 ちょっとしたコツがいるものもありますが、基本的には学生がデータを用意して、こうすると上手くいくよと補助する、そういう方法でやっています。私自身、大学院を修了したばかりで、年齢的にも先生より学生に近いですし、先輩に聞くような感じで気軽に相談してもらえればと思います。まずはどんなことができるのか、一度、遊びに来てみてください。

デジタル工作機械

レーザー加工機

 レーザー光でさまざまな素材に、カット・彫刻の加工を施すことができます。木材(MDF)をメインの素材に使っていますが、アクリルやプラスチック、布地や皮革などの切断もできます。このマシンではガラスや石材の切断は無理ですが、表面に模様を入れたり、名前を彫ったりするようなことは可能。基本的にはAdobe Illustratorを使うことができれば利用でき、「けっこう簡単に使えます」と星さん。

3Dプリンター

 大きいものが1台、小さいものが3台あります。作れるものの大きさが異なるだけで、基本的な性能にそれほど違いはありません。大きい方で20×20×20cm程度、小さい方は12×12×12cmほどの大きさのものが制作できます。3Dソフトのデータが必要で、インダストリアル&セラミックデザインや先端メディア表現、スペースデザインの各コース学生がよく使っているとのこと。「YouTubeに説明動画がたくさんあるので、独学でデータを作成してくる学生もいます」。

UVプリンター

 画像やイラストのデータを基に、最大8色の糸を使って刺繍することが可能。タオルやTシャツから帽子やカバン、アクセサリーなどにも刺繍を入れることができます。データは、イラストなどを画像データにして持ってきてくれれば大丈夫、とのこと。機械にあわせた色の使い方など、ちょっとしたコツが必要とも。

デジタル刺繍ミシン

 木材、アクリルなどの樹脂、革、布などさまざまなものにプリントができるプリンター。高低差が2mmまでの凹凸の少ない素材に印刷することができます。紫外線で硬化する特殊なインクを使うことで、前準備や乾燥などの作業をすることなく使うことができます。レーザー加工機で切断したアクリルにプリントしてキーホルダーを作るなど、簡単にできます。

CNC(CNCルーター)

 ドリルで削り出すテーブル型の木材加工機。レーザー加工機よりも厚みのある材料に対応し50mm程度の高さまで加工可能。立体で切り出すことができることがレーザー加工機との大きな違いで、曲線もきれいに切り出すことができます。ただし、加工する順番など設定する必要があり、学生への対応を検討中とのこと。