• 芸術学部 芸術学科 デザイン領域 スペースデザインコース
  • 芸術学部 芸術学科 舞台芸術領域 共通科目等担当

西岡 毅

にしおか つよし

講師

西岡計画工房
2011年
名古屋芸術大学デザイン学部デザイン科 卒業
服部信康建築設計事務所勤務
2016年
西岡計画工房 設立
名古屋芸術大学デザイン学部 助手
2019年
名古屋芸術大学デザイン学部 非常勤講師

“設計事務所をやるんだから建築科へ行け”と言われて

お客さんと一緒に作る家

スペースデザインコースの卒業生ながら、アート系のことにもたくさんかかわっていますね

もともと油絵や彫刻をやりたくて、高校からずっと油絵をやってたんです。大学へ進むとき、兄に彫刻がいいのか、油絵がいいのか相談しました。兄は武蔵野美術大学の造形学部建築学科へ行っているのですが、「どっちもダメ。俺と設計事務所をやるんだから建築科へ行け」と言うんです。そこでなぜか僕もそうなんだと納得して、そこで僕の人生は決まってしまった(笑)。でも、絵を描いていた高校生が、理系の力学計算もちゃんとやって、なおかつデッサンもやるというのはハードルが高い。名芸大ならスペースデザインコースがあるということで、ここならいろいろ試せるぞと思い入学しました。
3年生になったとき、建築系の学生はオープンデスクと言って、実際の設計事務所を体験するインターンがあるのですが、ここでまた兄にどんな事務所へ行けばいいか相談するんです。すると、「俺はRC(鉄筋コンクリート)に強いところへ行くから、お前は木造に強いところへ行け」と。それで、また、そうか、そうかと(笑)。そこで先生に相談して、服部信康建築設計事務所という愛知県では結構有名な事務所へ行きました。3年生からずっと通う中、卒業制作を師匠が見に来てくれて、卒業制作展の終わった次の日に、明日から来るかと言われ就職となりました。僕は卒業制作展を機に就職先が決まりましたが、就職氷河期の時代でみんな困っていましたね。

それで無事に就職して働き始めたと?

兄と事務所を作るために、木造に強い事務所ということで、ぴったりのところに勤めることができました。でも、大学ではいろいろなことをやりますが、建築の現場のことをじつはあまり知らなくて、師匠からとりあえず朝に現場へ行ってこいと指令が出まして、大工さんが作るのを見ながら掃除をしていろと言われました。現場へ行って、こういうふうに壁ができているのかとか、こうなっているのかとか、そういうことを全部見て、夕方5時に現場が終わるので、それから事務所へ戻って図面を書いて、というような生活をしていました。朝8時に現場へ行って、夕方5時に事務所、仕事が終わるのが大抵夜の2時頃、それで初任給は2万。睡眠を含めて自由な時間は6時間しかないので2万で過ごせちゃう(笑)。事務所に米だけはあって、これは自由に食べていいルールで、それで生きていけるんですよ。師匠は、「黒は磨けば光る。だから、うちはホワイト企業だ」と(笑)。今では考えられないことを言っていますが、師匠とは今でも良好な関係です。

すごい経験ですね!

ここまでやらないとダメなんだと思い、すごくいい経験をさせてもらいました。師匠が描いたラフスケッチみたいなものから実際に建てていくのですが、お客さんの都合に合わせて、予算が足りないなら構造を変えて下地材そのままで磨いたり、お客さんと一緒に作り上げていくような、それがすごく楽しくて今につながっています。そのうち師匠から現場を任されるようになり、「もう西岡君に教えることないから独立しな」と言われて27歳で独立しました。

はやい!

それで、「独立しろって言われた」と兄に相談しました。すると、「いいね」と。「いや、兄貴免許取ってないじゃん」「いや、お前免許持ってるじゃん、お前が社長をやればいいじゃん」みたいなやりとりがあり、誘ってきたのは兄なのに、いつの間にか僕が社長になっていました!

現場のリアルを伝えること

学生に伝えたいことは?

事務所を作ったことで多くのご縁があり、大学に呼ばれて工房を使っていろいろ作っているうちに、アーティストと一緒にコラボレーションして作業することが楽しくなって、建築と作品をコラボレーションしたり、展示を考えたり、大学同期の作家さんの家を作ったり、大学を卒業してからもものづくりができる工房を作ったりと、どんどんやっていることが増えました。自分の仕事がリアルにあって、その現場を学生に伝えることが、自分に一番できることかなと思います。仕事でやっていることや、アーティストとコラボレーションする活動が全部つながっていくことが大事で、その現場を知ることで建物の構造を知り、社会の構造を知る。そうしたことを伝えることが、自分にとっては教えることなんだと考えています。