「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施

 美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ学びを移行)では、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携し、2024年2月6日(火)~18日(日)までの2週間「メイゲイのコウゲイ」として爲三郎記念館に学生の作品を展示します。
 会期が迫る2024年1月25日(木)、古川美術館学芸員の早川祥子氏をお招きして作品制作の現状を確認、展示について再検討する最終発表会を行いました。1mを超える大きな作品や焼き上げる前の陶芸作品など移動させることが困難なものもあり、テキスタイル工房、メタル工房、セラミック工房、ガラス工房、木工房を学生らとともに巡り、展示についていっしょに考えることとなりました。

 各作品概ね構想通りに制作が進んでいるものの、制作期間の最後の10日ということもあって、工房には慌ただしい雰囲気が漂っています。実際の作品の大きさや色味を確認し、想定している展示場所や同時に並ぶ作品との整合性などを検討していきます。
 早川さんは、学生ひとりひとりに作品の意図を確認し、制作の途中で変わってしまった部分やどう見せたいか、学生の希望を聞いていきます。作家の考えに寄り添い、展示したときの希望を受け入れつつ最大限効果的に見えるよういっしょに考える姿勢が印象的で、学芸員の仕事の一端を見せていただいたように思います。中には、思うように制作が進まず展示を辞退したいと言い出す学生もいましたが、「途中まで作ったパーツだけでも見せることができる、できるところまで頑張って」と励ますこともあり、作家を支えることも学芸員の仕事だと感じさせます。作品の展示は、作品そのものだけでなく作品の背景にある作家の考えや感情を見せることだともいえそうです。工房を巡り、作品ひとつひとつと対峙して考える、濃厚な時間となりました。

 発表会を終え、担当する中田ナオト准教授からは「忙しいスケジュールの中、個々、自分の意志でこのプロジェクトに参加して作品を作ってくれていることがすごく喜ばしいことだと感じています。失敗してもいいのでやりきることが、今後の創作への良い経験になると思います。昨年に引き続いて2回目の参加の人がいますが、空間の捉え方ややりたいことの幅が広がっているような印象です。展示まで楽しんでやって欲しいと思います」と講評。
 瀬田哲司准教授からは「失敗してもいいとう話が出ましたが、作家になると失敗できないプレッシャーを感じることになります。失敗できるのは学生時代の特権なので、貴重な機会をぜひ生かしていただきたいと思います」と自由に創作、展示することの意義を述べます。
 米山和子教授からは「現場をよく知っていらっしゃる学芸員さんの言葉を聞きながら制作するというのは本当に貴重な機会です。制作の最後の数日が作品の出来を分ける時間です。これからが良いものになる時間なので、最後まで諦めずに皆頑張って制作して下さい」と制作を応援。
 扇千花教授からは「4つの素材、それぞれの違いを感じさせるのと各コースの違いなどがあり、すごく面白いと思います。コースそれぞれに違いがありつつも、全体として工芸の魅力が伝わっていけばと思います」とまとめました。

 早川さんからは「すごくバラエティに富んでいて、それぞれ違う素材への向き合い方、造形の捉え方があるので、ごちゃごちゃにならないように見せることが一番大切だと思っています。それぞれの作品の良さが良さが見えるよう、賑やかでありながらも調和しつつ独立してるような展示をしたいと思っています。皆さんが自分自身の作りたいものを、ここに展示したい、そうやって制作することが面白くなる要素だと思います。こんなことできないんじゃないかと諦めず途中でもいいので、最後まで参加して下さい。失敗という話が出ていますが、出して展示をすればそれは失敗ではありません。思ったように行かなかっただけで、諦めてしまうことが失敗だと思います。実際に展示したときに思っていたのと見え方が違うということが起きますが、その場でいっしょに考えるのが私のたち役割です。途中までであっても持ってきて下さい」と力強い言葉があり、最終発表会は終了となりました。
 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」は、2024年2月6日(火)~18日(日)、爲三郎記念館にて開催となります。ぜひ、ご高覧ください。