卒業・修了制作展 最優秀賞

侵食、運搬、堆積

洋画コース

堀出奏月

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洋画コース 堀出奏月
 横長の画面に広がる川の風景。遠くから眺めると、水平に重なる色面が印象的で、抽象画のようにも見えます。しかし近づくにつれて、川辺に佇む人々や鳥、落ちているゴミなど、日常の断片が点のように現れてきます。鑑賞者は画面の中を視線で往復しながら、小さな出来事や時間を発見していきます。抽象的な構造と具体的な情景が行き来する独特の視覚体験が、この作品の魅力です。
 タイトルの「侵食、運搬、堆積」は、川の働きを示す地形学の言葉です。水が地形を変えながら物を運び、やがて積み重なっていくように、人の記憶もまた人から人へと運ばれ、時間の中で蓄積されていきます。画面に点在するモチーフは、それぞれが小さな物語と時間を内包しています。
 作者の堀出さんは「遠くから見ると抽象的な画面ですが、近づくと人々の営みが見えてきます。鑑賞者が画面の中でそれぞれの時間や記憶を見つけていく体験になればと思いました」と語ります。川の流れのように重なり合う無数の時間を、絵画ならではのスケールと構成によって描き出した作品です。

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