キャリアセンター長/人間発達学部 教授
中川直毅先生

名芸生の「小さな刀」とは
キャリアセンターで伺いました

米中貿易戦争やコロナ禍の影響で2020年は「未曾有の就職難」と呼べる状況です。
その中、本学では名芸生の「専門性」という大きな武器を最大限に活かす取り組みをさらに強化しました。

本学が考える「キャリア」とはどんなことを指しますか?

本学が考える「キャリア」とは、4年間かけて学ぶ専門分野という「大きい刀」に加え、経営や法律の基本知識、経済動向の理解、リスク管理など、働くうえで役立つビジネス力としての「小さな刀」を備える「二刀流」によって生き抜く力をつけ、仕事で夢を実現させることです。これは、「専門力と汎用力の両方を活かした職業生活を送ることによって、豊かな人生を獲得すること」と言い換えることもできます。
本学の学生さんは、学びを通じて専門力を高めていることが強みです。キャリアセンターでは、これら専門力を活かした職業に就けるよう支援していることに加え、さらに次のような力を補強することで学生さんが、社会に出て活躍できるよう、キャリアに関する授業、特別講座、催事を展開しています。

今年度と来年度以降の就職状況について教えてください。

コロナ禍の影響を受けて悪化した経済情勢を背景に、就職状況は悪くなっています。今年度もさることながら、来年度はさらに悪くなることが予想されます。このような状況下において、学生さんをむやみに心配させることなく、その不安を除去しつつも、警戒感を持って将来のキャリアを考えることができるよう、次のことに注力しています。

①情報力の発揮
学生さんの夢の実現をサポートするため、新規求人獲得、採用動向の最新情報把握と情報提供を強化しています。
②リスク回避できる支援体制
ブラック企業への入社防止、内定取り消しなどに対する適切な対処ができる体制を整え、学生さんを守ります。具体的には、弁護士など専門家と連携した相談体制の確立、企業情報の収集、職員の自己研鑽(労働法の習熟など)を行っています。

キャリア教育はどんな人に必要ですか?

全ての人(学生さん)に必要です。
職業生活を通じて豊かな人生を獲得するためには、広い視野を持って社会のことを知り、自らの強みを活かして仕事をすると同時に、己を守る術を学ばなくてはなりません。キャリア教育とは、学生さんにとって、将来の安定した職業生活を支えるための滋養となるものです。
またキャリアセンターでは、在学生の方だけでなく卒業生の方に対しても充実した支援が行えるよう準備をしています。

キャリアセンターの取り組みについて教えてください。

コロナ禍の影響に対応した特別な取り組みとして、支援体制をさらに強化し、2020年度の後期、次のような施策を展開していきます。

オンライン就職支援

コロナ禍の影響で4年生の就職活動は長引いています。さらに強化したサポート体制で就職活動を続ける4年生をバックアップします。具体的には、Google Classroomを使い、求人説明会、面接対策講座、個別面談をオンラインで実施します。

キャリアセンター緊急支援措置によるサポート

春より実施している緊急支援措置をさらに強化します。労働法の専門家である私(中川キャリアセンター長)をはじめ、弁護士、社会保険労務士、公認心理師による相談窓口を設け、不安な保護者の皆様、学生さん、卒業生の方を守ります。新たな求人開拓に力を入れ、求人紹介フェアを実施します。また、就職・雇用の最新情報を収集し、情報提供を続けていきます。

ハイパワー講座座談会

授業「キャリア3」のスクーリングとして、座談会形式の講座を行います。私がファシリテーターとなり、弁護士、大企業管理職、社会保険労務士、税理士、大学講師などにご登壇いただき、「これからの時代のキャリアについて考える」というテーマで意見交換をしていただきます。

ペンタゴン作戦

さらに厳しくなることが予想される2022年3月卒業生(現3年生)をサポートするプロジェクトです。3つのハイパワー講座特別講義に加え、就活対策の総復習、教員採用試験対策の講座を設け、しっかりとした準備をして就職活動に臨めるよう支援します。いずれも、Google Classroomを使います。

リスクマネジメント講座

私生活・職業生活の両方において、リスクは常に潜んでいます。個人のリスクは家庭のリスクでもあります。自分と家族を守り、豊かな人生を送るためには、リスク源を察知し、それに触れないことが大切です。キャリアセンターでは、私を中心に、本学のキャリア支援の方針にご賛同いただいている弁護士および社会保険労務士にご協力いただき、日常生活(学校生活や家族生活)および職業生活に潜むリスクを察知し、それを回避する方法をご講義いただきます。
具体的には、いじめ、金銭トラブル、ブラック企業、労災、ハラスメント、人事制度、年金、医療保険、相続、不動産などをテーマとします。本講座は、保護者の方および卒業 生の方にもご試聴いただけるようにする予定です。キャリア系の社団法人に協力を求めて就活力を養成する副読本として「キャリアスキル読本」も準備しています。
上記以外に、例年行っている取り組みには次のものがあります。
①ハイパワー講座(NUA 高度就業力養成講座)
芸術系大学ではあまり例のない「就業力」の養成を目的とし、ビジネス界で有名な講師を招いて特別講座を開講。
②官民学合同説明会&交流パーティー
広く社会のことを知ってもらうことを目的とし、官公庁や優良企業を招き、各業界の全体像や仕事に関する説明会を開催。学生さんと出展企業などの交流パーティーも実施。社会人と直接話をする経験を提供。
③社会施設見学会
世の中にある色々な仕事を、実際に見に行こうという企画。大学提携の官公庁や企業にお願いし、キャリアセンターの教職員も同行して見学。
④資格取得講座
就職に役立つ資格の取得を目的とし、英会話、TOEIC対策、Illustrator・Photoshop講座、秘書検定講座、話し方講座などを開講。
⑤ビジネス力を養成するカリキュラム
来年度からは、経済学、民法、労務論、組織論、簿記論、行政論など、ビジネス力の養成と公務員試験を想定した講座を開講。

キャリアセンタースタッフ。左から、水口チームリーダー、河野チームリーダー、中川センター長、山田学務部長、伊藤チームリーダー
「経験豊富な専門スタッフが全力で学生の皆さんをサポートします。進路について疑問や不安があれば気軽にキャリアサポート室に来て下さい。お待ちしております。」