ALPs(超域創造プログラム)始動

 ALPs(Applied-design Leading Programs)とは、第一線で活躍するディレクター陣のもと、専門分野、学部、大学院、学年を超えて参加できるプロジェクト型の実践的プログラムです。現代社会のさまざまな課題に対し、他の学問分野や企業・自治体等とも超域的に連携しながら、デザインの知と技術で立ち向かい、より良い未来の創造を目指します。また、プロジェクトを通じて、次の時代に必要とされる高度なデザイン人材を養成します。

プロジェクトの条件

超域的な視点、新規の価値提案を含んだ挑戦的な内容を持つもの
Reserch through practise =実践的であると同時に学問的知にも接続されていること

学生メンバーの体験内容、卒後進路、期待職能など

 ディレクター、ALPsボードメンバー、マネージャーとともに、実践的なデザインプロジェクトを推進します。従来の実技教育カリキュラムの慣例であった、あらかじめ準備された課題にある仮定された答えを出す形式ではなく、ひとりの自立したメンバーとして、他のメンバーと協調しながら課題自体を探り、設定し、実社会へと投げかけていく体験を積みます。課題・価値発見のためのリサーチから、最終的な提案・社会実装までの過程を一貫して体験することで自らの強みを認識し、充分に活かしながらプロジェクトへと関わります。

5
1
4
3
2

1萩原周教授

 ALPsは、これまであったような時限的なプロジェクトではなく、持続的に成長し続けていけるものにしたいと考えています。芸大が持つ知的財産、教育資源を、企業や自治体と連携して課題を解決するだけでなく、課題そのものを見つけ出し提案していく運動体のようなものとして位置づけたいと思います。ALPsへの参加についても、教員、学生という枠組みではなく、知識や経験の違いはあれど同列の立ち位置で、また外部から領域にこだわらず必要な人材を招聘し、そこへ学生も参加していくようなかたちとします。プロジェクトにあわせて、適切な人材をスカウトすることができればと思います。学年を越え、学部も超え、ゆくゆくは学校を超えていくかもしれません。ALPsがバリューを持つように育っていけばそうしたこともあり得ることですし、名芸のデザインのアイデンティティになっていく可能性もあります。それくらいのスケールで位置づけています。

2駒井貞治准教授

 デザイン領域で新しい分野を探すことを考えています。今まで何か新しいコースを作るというと、マンガがないからマンガコースとか、ファッションがないよとか、デザインという範疇の中で新しいコースを考えるという方法でした。ALPsは、そうじゃないものをつくれないか、何か新しい枠組みそのものをつくれないかということで考え出されました。ただ、いろいろな大学がやっている4年間で2つの専門を取るダブルメジャーや、従来からの専門を究めるということではなく、今までカテゴリ分けされていなかったところに新しいものがあるのではないかということになり、そうした部分を見つけ出していける仕組みを考えました。デザインと考えられてきた範疇をさらに外部へ拡張させることなので、デザイン以外の領域の人と結びつき、そうしたつながりの中から新分野を生み出していくことをやっていきます。

3水内智英准教授

 きっかけは、芸大、美大系のデザインはこの先どこへ向かうのかという危機感から来ているのではないかと思います。現在、世界的に見ても急激にデザインの対象が広がってきていますし、そこへ参加するプレイヤーも広がってきています。これまでの芸大系のデザイン教育が得意とする部分とそうではない部分があります。最終的なアウトプットをつくり出すことや、プロジェクトベースで実験的な試作をしながら成果物を作りだすことには向いていて強みがあります。しかし、他の分野とつながって新しい領域を開いていくことは得意ではありませんでした。デザインが持っている価値を社会の中で役立てる、こちらからもっと社会へ働きかけることで、デザインが持っている価値そのものを探ることになるのではないかと思います。

4竹内創准教授

 何か知らないこと、全然やったことのないことに取り組んでみたいですね。領域を超えて、さまざまな学生が集まるだけでも新しい刺激になるのではないでしょうか。教員にとっても同じで、領域で閉じているよりもさまざまな人が集まってくることで面白いことができるのではないかと思います。それを、プログラムとしてやっていこうという試みです。デザインでは、フューチャーデザインといった新しい分野を模索する動きが出てきています。これまでのとらえ方だけでは限界があり、デザインという領域自体が動いていかなければならないと思います。ものをつくるだけでなくネットワークをつくることなど、そういった部分も開拓していけるようにと思います。

5臼井拓朗講師

 ALPsのメンバー全員が同じ価値観を持ってるわけではなく、学生も含めていろんな価値観を共有しながら、また別の価値観を理解して、そこから新しいものが生まれてくるのではないか、また、そのほうが面白いのかなと思っています。教員というか、参加している自分たちが楽しくないと面白いものは出てこないのではないでしょうか。楽しんでいる時に偶然出てきたものが、もしかしたらこれまでとは全然違うものだったりするのではと思っています。これまでの大学教育の、こういうものをつくりましょう、できました、という図式とは全然違ったものになるのではないかと期待しています。自分としてはどういう立ち位置で参加できるか、このことも楽しみにしています。