イベント

『第4回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜』 受賞結果

2022.04.19~2022.04.24

展覧会

2022年4月23日に特別審査員としてキュレーター 服部浩之さんにお越しいただき作品審査を行ない、
グランプリ 1名 準グランプリ 2名 服部浩之特別賞1名の受賞者が決定しました。

●グランプリ
川瀬詩乃 「金生山」

●準グランプリ
大嶽涼太 「Mind-set drawings for 30days」
島谷研志 「未来人ラボ」

●服部浩之特別賞
兼平恵真 「煉獄より〜廻天のマッチングポンプ〜」

  • 特別審査委員 服部浩之
    キュレーター/東京芸術大学大学院映像研究科准教授
           名古屋芸術大学客員教授
    略歴:1978年愛知県生まれ。2006年早稲田大学大学院修了(建築学)。
    国際芸術センター青森[ACAC]学芸員、秋田公立美術大学大学院准教授などを経て現職。
    主な企画に、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」(2019年)がある。

    以下、特別審査員 服部浩之さんのコメントです。

  • ●グランプリ 川瀬詩乃 「金生山」

    丹念なリサーチに基づいた美しいプロジェクト。作者はコロナ禍をきっかけに身近にある山に惹かれ、日々の生活ともつながるかたちで人と土地や自然との関わりを深く考えるようになり、何度も山を訪れ、様々な資料にあたり、一冊の重厚な書籍をまとめあげた。金生山という具体的な対象の奥深くへと入り込むことで、人と生態系との影響関係など、より大きく普遍的な問題への応答を試みていることも素晴らしい。自らの外側にある「他なるもの」との出会いを通じて、そこから独自の表現を見出す態度にも共感を覚えた。対象との出会いやテーマ設定だけでなく、かけられた時間の膨大さが完成度の高い作品からよく伝わり、グランプリにふさわしいと考えた。

  • ●準グランプリ 島谷研志 「未来人ラボ」

    フィギュアに商品パッケージ、それに漫画的イラストなどポップな要素で構成されているのだが、その主題は環境問題や政治的課題、人間の倫理観や価値観を真摯に考える、私たちの未来に問いを投げかけるような極めて社会性の高いもので、そのコントラストと完成度の高さがすばらしかった。また、深刻な問題をただ深刻なものとして告発するのではなく、アイロニーとブラックユーモアをぴりりと効かせ、笑いを誘いつつも鑑賞者が現在の生活や未来の社会について思考することを促すあり方は爽快でもあった。

  • ●準グランプリ 大嶽涼太 「Mind-set drawings for 30days」

    非常に幅のある異なるタイプの2つの作品を展開していることが、まず興味深かった。《Mind-set drawing for 30 days》は一見アウトサイダーアートの表現のように思われるのだが、実際には文字や言葉を用いて絵画を描くことを探究する実験的な絵画作品である。野生的で無心の奔放さを醸しつつも、同時にどこか理知的で思慮深さがうかがわれ、相矛盾する対極にありそうな要素を内包する複雑さを孕む魅力があった。また、額装や展示構成へもよく意識が及んでおり、総体としての高い完成度が強く印象に残った。

  • ●服部浩之特別賞 兼平恵真 「煉獄より〜廻天のマッチポンプ」

    大胆で迫力もあって、なおかつ非常に複雑で緻密な巨大絵画に目を奪われた。作者がこれまで制作してきた様々な創作物がコラージュされた画面には、その背後にある彼女がかけた膨大な時間や様々な苦闘など、まさに煉獄での日々が凝集されており圧倒された。自らの過去の作品を解体し、再構成して新たな作品を生み出すという大胆さには敬意を表したい。そして、この制作をきっかけに是非新鮮な心持ちで新たな作品に挑んでもらいたい。