学長メッセージ

多様性の時代に、芸術の力を

芸術で“感性”を磨く時代

名古屋芸術大学の基本にあるもの、それは感性教育です。物事の本質を深く感じ取る力は、芸術以外のどんな分野においても欠かせません。世界の経営者たちは今、MBAよりも、美術館や音楽会に足を運ぶことを重要視し、芸術で“感性”を磨く時代といわれています。それはきっと、現代社会が“知性”だけでは先を見通せない時代だからではないでしょうか。刻々と変化する情勢の中で、より感覚的に時代の動向をつかみ、新たな発想や手法で状況を打開する力が求められているのだと感じています。

芸術を通じて“社会”に必要な力を培う

芸術大学での学びは、一般的に自分の専門分野を突き詰めていくイメージがあるもしれませんが、決してそれだけではありません。名古屋芸術大学では、2017年に学部の垣根を取り払う「ボーダレス」という大改革を進めました。他の専門分野や領域の知見に触れることは、新たな発想を広げ、これまでにないアイデアや作品を生み出すと考えたためです。
それから芸術は必ずしも個人だけの活動ではありません。たとえば音楽にはアンサンブルやステージがあり、美術やデザインの分野では共同で作品制作やプロジェクトに取り組んだりもする。他者と協力して一つのものを作り上げる機会は数多くあり、その中でコミュニケーション能力や協調性などが培われる場面も多く見られます。そして、共通の目標に向かって皆が連携しながら各々の役割を果たすのは、社会やビジネスの世界でも同じです。

社会に新しい“価値”を生み出す場所

かつて、今ほど複雑で変化と多様性にあふれた時代はなく、わたしたちは正解のない時代を生きています。従来の価値が揺らぎ、行き先も不透明な時代だからこそ、社会のさまざまな場面で新たなものを生み出す“感性”が求められています。まさにそれを育む場所が「芸術大学」であり、芸術に触れて得られたみずみずしい感性や、豊かな発想力は、新しい時代のイノベーションにつながる。芸術大学が社会に果たす役割は、日々大きくなっています。

名古屋芸術大学 学長
竹本 義明