お知らせ

2023年度 教育学部 Worldeaハワイ研修 実施しました!

2023.10.17

子ども学科

名古屋芸術大学教育学部子ども学科では、毎年夏にハワイ研修を実施しています。
ことばや文化の違う地で生活し、海外の教育を学ぶことで、視野を広げ、自主性を養うことを目的としています。それにより将来、教育現場のさまざまな課題に、柔軟に主体的に対応できる人材を育てたいと考えています。
今年度は、2023年9月1日-8日の8日間の日程で、学部2, 4年から選抜された計9名の学生が参加しました。

研修のテーマはこの4つです:
▪️ 外の教育·保育現場を視察することで、日本の教育·保育との違いに触れ、教育·保育をより広い視野で捉える
▪️ この先も求められる多文化共生を体験·理解し、グローバルな社会の中で子どもの良さを引き出す能力を身につける
▪️ 研修に含まれる各種プログラムに責任感をもって主体的に取り組み、社会人として成長する
▪️ 研修を通して学んだ教育·保育観、文化や音楽·芸術を、その後の実習やワークショップの中に取り入れ実践し、在学中·卒業後にも持続的課題として取り組む

8日間の現地研修のみでなく、ハワイの教育について学ぶ事前研修から始まり、帰国後に、学んだ成果をパネルや冊子にまとめて発表する事後研修まで続く、約10ヶ月の長期プログラムです。ハワイへの渡航滞在費は大学負担で、パスポートや保険、ESTA、食事代の一部が自己負担となっています。

昨年度は、コロナ禍の影響で現地の学校見学ができなかったのが心残りでしたが、今年度はやっと現地保育園で子ども達と直接交流ができ、初等教育について学ぶ地元のCommunity Collegeでは、本学の学生達が日本の教育について英語でプレゼンテーションも行いました。
ハワイの教育について学ばせてもらうだけでなく、自分たちからも発信できたことは、学生にとって大きな自信に繋がったことと思います。

Day 1 9/1()



21:45(日本時間)の便で中部国際空港を出発(ホノルルまで直行)。
定刻通り、9/1 10:25(現地時間;以下同)にホノルルのダニエル・K·イノウエ国際空港に到着。
早速、バスの車窓から市内見学をしながら昼食会場へ。レストラン「アロハ·テーブル」でハワイ名物ロコモコをいただきました。

午後はJTB Hawaiiのオフィスをお借りして、「ハワイで子どもを育てるということ」をテーマに意見交換会。実際にハワイでお子さんを育てている現地日本人スタッフの方々と交流し、学生があらかじめ送っておいた質問への回答を中心に、ハワイの教育·子育てについて、リアルで実際的なお話を伺うことができました。学生からの質問は、教育制度にまつわることから、最近流行りの子どもの遊びについてまで多岐に渡り、何十項目もありましたが、1つ1つ丁寧に回答いただき、ありがとうございました!

夜は友人同士で自由に夕食。自分でレストランを探し、メニューを選び、英語で注文するだけでも新鮮な学びです。ちなみにホテルの2ブロック先はワイキキ·ビーチ。世界一有名なビーチに徒歩で泳ぎに行くことができます!!

Day 2  9/2()

10:20発のバスでポリネシア文化センターへ。
バスは貸切ではなく、地元の人も一緒に乗る混乗車で、ガイドさんの説明もみんな英語。文化センターまでの道中ずっと、周囲の地形や自然について、これから向かうポリネシア文化センターについて、そして99%の人が「まずい」と言うという(!)ポリネシア料理「ポイ」について、興味深い話をしてくれました。学生はどれくらい聞き取れたかな?
文化センターは、ポリネシアのそれぞれの島の文化を紹介するエリアに分かれており、学生は友人同士のグループで自由に散策。ハワイの明るい日差しのもと、緑いっぱいの敷地をカヌーでくだったり、各種のショー見学、工芸品作りワークショップも体験し、到着2日目にしてすでに異国情緒を満喫した1日でした。



夕方はセンター内のビュッフェ会場で、ポリネシア料理を楽しみました。ポキやロミロミ、タロイモ料理、この土地にしかない魚や野菜など、食べたことのない味に出会う貴重な機会です。ガイドさんがおどした「ポイ」は、タロイモをすりつぶしたマッシュのようなもので、まずいというより… 全然味がない感じでした(笑)。

夜は、園内スタッフ総出のナイトショー。ポリネシアに伝わる民話を基に、それぞれの島の民族舞踏やファイアーダンスを織り込んだ壮大なストーリーです。力強いダンスや歌声を野外ライブで楽しめる、とっても贅沢な時間でした。

Day 3  9/3()

午前中は自由行動。ワイキキからすぐ近くの山、ダイアモンド·ヘッド登山に挑戦した学生もいたようです。

午後のABCプログラムでは、ハワイの地元大学生·大学院生たちが、学生をワイキキ観光に連れて行ってくれました。3グループに分かれ、それぞれワイキキ水族館と、巨大ショッピングモールで有名なアラモアナへ。現地学生の親切なおもてなしと案内に、学生たちは大喜び!つたない英語ながらも、一生懸命気持ちを伝えようとするところからコミュニケーションが生まれます。



Day 4  9/4()

地元の小学生も遠足で訪れるという、ハワイの伝統農業体験施設クムオラ·ファームへ。山道を登った先の広大な敷地に、日本では見たことのない様々な植物が自生、または栽培されています。

作業を始める前に、まずスタッフさんによる山の神に捧げるお祈りが始まり、一同びっくり!ハワイは現在アメリカの一部ですが、元々のハワイ文化には、日本と同様、自然界のあらゆるものに神が宿るという信仰があるそうです。

その後スタッフさんに指導いただきながら、自分たちでティーリーフを摘んでレイ作りに挑戦。リーフを摘むにも「植物に感謝し、植物の生育を邪魔しない部分からだけ葉をいただく」、取った葉が余ってしまったら、「また自然に還れるように、感謝しながら土に埋める」というお話に、自然と共に生き、自然の恵に感謝するハワイ文化の真髄を感じました。



ご用意いただいたお弁当は、なんと久しぶりの日本食!
こまごまと詰められたおかずと、スタッフのみなさまの心遣いに感動です。

Day 5  9/5()

本日はこの研修の最大の山場、地元のCommunity Collegeで初等教育を学ぶ学生さんの前で、本学の学生が「日本の教育について」プレゼンする番です。

Community Collegeとは、日本の専門学校に近い教育機関で、高校卒業してすぐに入学する学生もいれば、一度就職した後に新しい資格や職業に挑戦したくなった社会人が気軽に学び直しができる場でもあります。



初等教育科の責任者、クリスティー先生の案内で学内を見せていただいた後、アン先生による入門授業を見学させていただきました。子どもを観察する際の記録の付け方について、主観(Subjectivity)を排して、客観的(Objective)になるべく詳細に、その子どもを見たことがない人にも伝わるように書く、など、具体的なコツが教えられていました。先生が一方的に講義をするのではなく、学生たちが先生と同じくらいの比率で発言し、授業がとってもアクティブなことに、日本人学生はタジタジ。

プレゼン前に緊張をほぐそうと、地元学生と日本人学生で簡単な自己紹介ゲームをさせてもらいましたが、みんな緊張しすぎて簡単な挨拶がなかなか出てこない(笑)!教室で勉強しているだけでは体験できない、本物の異文化コミュニケーションに触れた機会でした。

さあいよいよ、日本にいる時から頑張ってスライドを用意してきたプレゼンの時間です。学生たちの将来の志望によって、「日本の小学校教育」について紹介するグループが2つ、「日本の保育園」について紹介するグループが1つ、それぞれ施設の特徴や学びの特色、遊びの道具や工夫など、日本に独特と考えられる点に特に焦点を当てて発表を準備してきました。

「とにかく相手が聞き取りやすいように、ゆっくり、はっきりと発音する」ということだけ心がけ、準備してきた原稿を丁寧に読み上げます。地元の学生たちは、頷きながら、あるいはその場で感想を口々に言い合いながら、熱心に聞いてくれました!

1つのプレゼンが終わるたびにたくさんの質問が飛び出します。内容が深いだけに直接のやり取りは難しく、通訳さんに助けてもらいながらも、精一杯質問に答えます。

みんな立派でしたd=(^_^)=b お疲れさま!

なお、このプレゼンの様子は、後日冊子にまとめて、教育学部主催の音楽イベント「春を呼ぶフェスティバル」(2023年2月4日開催)の会場でも配布予定です。

Day 6  9/6()

本日は研修のもう一つの目玉、地元の保育園で、日本の遊びを紹介しながら子ども達と交流します。

ワイキキ郊外にあるQueen Emma Preschoolは子どもの自主性を重んじる私立の保育園で、子ども達との交流に先立ち、園長のオコガ先生から、園の教育方針を教えていただきました。特に印象に残ったのは、「子どもたちがケンカした時も、無理に仲直りさせるのではなく、子どもたち自身に、どうしたいか、どうすればよかったかを考えさせる」というお話と、子どもに注意するとき「ダメ」というネガティブなことばはなるべく使わないというお話。「走っちゃダメ」よりも「ゆっくり歩こう」。「叩かない」よりも「優しく触れてね」など。禁止するのではなく、望ましい行動を伝えることで、子ども自身に自分の言動を考えさせます。

続いて園の保育士さん数人とお話をさせていただきましたが、みんなこの園が好きで10年以上長く勤めていらっしゃる方ばかり。まもなく定年という話をしながらも、園が去りがたくて泣いてしまう方(!)がいるなど、園と子ども達にどれだけ愛情をもっているかが伝わってきました。

そしていよいよ、3歳児クラスの子ども達と交流させてもらいます。学生たちはこの時に備えて、折紙や手遊び、絵本の読み聞かせなどを準備してきました。

子ども達は、見慣れないお客さんに興味津々。英語が通じているのかいないのか、ともかく人懐っこく遊びに興じてくれます。よかった!

楽しかったけれど、子ども達のエネルギーに押されて、学生達はヘトヘトです(笑)。

Day 7, 8  9/7-8(木·金)

ついにハワイともお別れです。朝8:30にスーツケースだけ先に回収してもらい、各自朝食、自由行動へ。
ハワイの朝ゴハンともこれでお別れ。美味しかった!

昨年度はコロナ禍のため、帰国手続きも煩雑でしたが、今年度はその点がとてもスムーズ。
9/7 14:40にダニエル·K·イノウエ国際空港発、約8時間後、ほぼ定刻通り9/8 18:00少し前(ここから日本時間)に中部国際空港に到着。時差の関係で、丸1日がどこかに消えてしまったようで不思議です。
大きな病気や怪我、トラブルもなく全員無事に帰ってこられて、本当に何よりでした。

【研修全体を通して】

今回、昨年度実現しなかった地元の学校·保育園の見学が取り入れられたことは大きな前進で、日本の教育では当たり前であることが、海外では必ずしもそうではないことを知る、大変に有意義な機会となりました。「違い」を知ることで初めて、「じゃあなぜ日本はそのようにしているのだろう」と疑問が生まれ、当たり前すぎて考えてもこなかった日本の教育、ひいては社会への洞察が深まります。「外国を知ることは、自国を知ること」とはまさにこうしたことを言うのでしょう。

今後、この研修をさらに実りあるものにするため、教育学部の学びの3大分野「教育·保育·福祉」のうち、今回の研修に取り入れられなかった「福祉」のプログラムを組み入れていく(例:児童養護施設の視察など)、あるいは、初等教育を学ぶ学生との交流はできましたが、実際に地元の小学校を見ることができなかったため、その参観や、地元小学生との交流もぜひ実現させたいところです。

海外はとにかくことばが通じず、習慣も異なるため、食事をする、買い物をする、乗り物に乗る、あるいは遊ぶことさえ、一生懸命やらなければ何もできません。何も考えなくてもとりあえず日常は過ぎていく日本の生活とは大違いで、脳は常にフル回転!

海外の教育を学ぶことがもちろんこの研修の中心テーマですが、そうやって活性化された頭で、新鮮な目で、新しい風景を見て、新しい人々と出会い、自分の力で1つ1つの局面を切り抜けること。それだけで、日本では得られない貴重な学びになったはずです。この研修で得た経験が、学生の今後の成長に大きく資することでしょう。

お世話になった日本とハワイのJTBスタッフのみなさま、現地で快く見学をさせてくださった諸施設、学校·保育園のみなさま、本当にありがとうございました!!