基礎科目
子ども学特論 | デューイは、子どもを太陽にたとえ、子どもを中心に教育や社会を考え直すことを提唱した。この全体像の探究とは、子どもを発達主体として深くとらえていく探究とともに、子どもの〈まわり〉を〈回転〉する、教材、教師、共同体、生活などのあり方を探究することでもある。子どもから世界をとらえ直す方法を学び、多様なアプローチの成果から〈子ども学〉を総合的に考える。 |
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幼児教育学特論 | 幼児期の教育の目標及びその内容・方法について制度的な変遷と現代の課題について学ぶ。日本の保育制度と諸外国の保育制度との比較や、幼児教育の課題についても日本と諸外国との比較をしながら、幼児期の教育的課題やその実践的な方法のあり方について考察する。さらに、家庭や地域における子育ての状況、さまざまな子どもへの援助、保育者の専門性について考察することにより、幼児教育の課題を深める。 |
発達心理学特論 | 大人はかつて誰もが子どもであったのに、その時期を脱してしまうと、私たちは自分がどのように子どもとしての心的生活をおくっていたかを忘れてしまう。大人にとって、子どもはいつの間にか謎に満ちた存在となる。発達心理学とは、そのような子どもの謎に迫ろうとする学問であり、さらにはその解明を通して人間存在の謎にも迫ろうとするスリリングな基礎科学である。また同時に、発達をめぐるさまざまな問題をかかえた子どもたちの支援のために、日々、必要な知見の提供をめざす応用科学でもある。本授業では、発達心理学のこうした二つの側面を全体として概観し、その最新の成果を学ぶ中で、特に発達支援の専門家に必要とされる科学的な洞察力と広い社会的視野を育成する。 |
発達臨床学特論 | 子どもの発達とその支援について臨床発達心理学の立場、特に認知発達を中心にして考察する。一人の子どもの発達の姿は年齢や子どもにかかわる人を含む環境が浮かび上がらせる。この点も踏まえて個としての認知発達をとらえる力を養うことを本講義の目的とする。 |
展開科目
幼児・初等教育学系領域
子ども学特演 | 前期の「子ども学特論」で学んだ基礎の上に、自ら問い・研究課題を見出し、先行研究に当たり研究の方法を探りつつ、何らかの形で自らアプローチを試みる。自らの子ども観や子ども研究の方法の基礎を確立し、子ども学の視点から他の事象についても考察する力をつけることを目標とする。 |
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幼児教育学特演 | 幼児教育の具体的な実践について取り上げ、そこでの子ども観、保育方法・指導性について分析することを通して、幼児教育の実践の意義を問い直す。幼児教育に通底する概念、保育者と子どもとの関わり、子ども同士の関わり、その生活背景などを考察することによって、幼児教育の実践的課題について学ぶ。 |
教育学特論 | 「教育学」とは教育という事象を対象とする科学である。今日「教育学」は、教育哲学、教育史、教育社会学、教育心理学、比較教育学、教育工学、教育行政学、学校経営学、社会教育学などに分化した教育諸科学の総称として用いられることが多くなっている。この授業では、教育を人間教育の営みという視点でとらえ、その歴史や思想、哲学を中心に学習する。私たちがこれまで経験し、考えてきた子どもを教育するということを、人間は何を目指し、何を見据えてきたのかという、意義や意味の視点で考える。具体的には、教育についての関心をひとまず教育思想史に向け、人間教育の過去と現在を検証し、そこから次の時代へとたどる人間の道筋を示唆する教育を展望することを中心的課題とする。 |
教育学特演 | 教育学特論で学習したことを基礎にして、教育学に関するテキストを講読する。そして、そのテキストの内容について受講生のあいだで活発な議論をおこない、理解を深める。 |
表現活動特論 | (1)領域「表現」における、子どもの表現・子どもを取り巻く環境・保育者の役割を理解し、保育現場における課題意識を明確に持てるようにする。(2)日本の幼児教育における、優れた教師・保育者による表現教育の実践を取り上げ、その実践が作りだされていくプロセスを明らかにしていく。 |
表現活動特演 | (1)古典的なドラマ教育の実践研究を読み、表現に対する子どものとらえ方、保育者の役割、集団活動としての子どもの表現活動について、具体的なイメージを持てるようにする。(2)即興劇をはじめとする、体験的な学習の意義を理解する。 |
子どもと音楽特論 | 子どもの音楽的発達過程を把握し、「保育指針・幼稚園教育要領」に示された表現領域における音楽について考えると共に他領域との関係を理解する。また、「小学校学習指導要領」に示された音楽についての学習内容を理解し、子どもの音楽表現力を育てるために必要な要素・方法について考察し、音楽表現の知識・方法を習得することを授業の目標とする。 |
子どもと音楽特演 | 子どもの音楽活動がどのような意味を持つのかを、文献講読、音楽活動の観察、音楽活動の体験を通して考える。また、子どもの成長に音楽表現活動がどのような役割を持つかを考えることを目標とする。 |
子どもとアート特論 | 子どもの造形活動をアートとして捉え、その意味と活動が子どもの発達に及ぼす意義について考察を試みる。具体的には、美術の歴史における様式の変遷、子どもの発達に伴う造形表現の展開、造形教育の歴史と未来の三部によって講義内容を構成し、子どもとアートにおける課題の諸相を明らかにする。 |
子どもとアート特演 | 子どもの造形活動をめぐってそれがどのような意味を持つものであるのか、各種文献の講読、造形作品の鑑賞、造形体験等を通して具体的に考える手立てとする。美術研究および教育実践に携わる者は、美術を教えることの意味や、内容・方法の理解を持つことが必要となる。ここでは子どもとアートをめぐる課題を、文献講読、鑑賞、体験といった三様の演習を通して明らかにしていく。 |
子どもと自然特論 | 保育所保育指針と幼稚園教育要領の領域「環境」と小学校学習指導要領「生活」、「理科」についての内容を、「子どもと自然」という観点から連続的かつ実践的に理解することを目標とする。子どもを取り巻く環境の中でも自然環境に重点をおいて、発達に応じた自然とのかかわりの理解や、自然体験・自然遊びなどへの展開を学ぶ。自然に親しみ、愛する心情を育てる意義とその方法を習得して欲しい。地域それぞれが持つ環境に係る問題の解決には持続可能な社会へ向けた教育(ESD)が国際的にも重要視されている。環境教育の本質的な理解まで含めた広い視野で自然と子どものかかわりを考えられる力をつけることを目指したい。 |
子どもと自然特演 | 保育所保育指針と幼稚園教育要領の領域「環境」と小学校学習指導要領「生活」、「理科」についての内容を、「子どもと自然」という観点から、実践を伴って理解することを目標とする。身近な自然、あるいは園庭、校庭、ビオトープといったものを活用しながら、自然観察会や自然遊びを実践する力をつける。生命の連続性、生物の多様性、生物どうしの関わりなど本質を理解しながら、幼児教育・初等教育での自然環境を利用した活動についての実践、教材の開発を体験する。 |
子どもと算数特論 | 数学は生活の中から自然に生まれてきた学問である。これからの世界で生きていくためには、この算数や数学の見方、考え方が必要である。しかし、中学・高校の教育が受験対策で、多くの量を短時間で教え込んでいるため、多くの学生が難しいものだと投げ出し、その結果、理数系離れが進んでいる。子どもたちが算数に興味・関心をもち、子どもたちの知的な算数世界への扉を開けるきっかけになるような題材・教材内容や教具について、作業体験もしながら追究する。 |
子どもと国語特論 | 国語科は、社会生活の全ての場面において、ものごとを理解し、表現して円滑な人間関係を維持するために必要不可欠である。とりわけ、子ども(主として児童期)に対して、的確かつ適切で豊かな言語活動ができるための基礎的な力を育てることは何よりも重要である。本講義では、学習指導要領に示されている3つの学習内容「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」と、「伝統的な言語文化と日本語の特質に関する事項」について理論と教授法や、子どもにとってふさわしい国語教育のあり方を学ぶ。 |
子どもと英語特論 | 国際理解のため、コミュニケーションのツールとして英語が不可欠になり、早期英語教育の必要性が高まっている。同時に、その危険性に警鐘を鳴らす学者も少なくない。この授業では、幼児・児童を含む早期英語教育における理論を学び、基礎知識を身につける。子どもの言語習得から学習に至るまでの過程やこれまでの教授法について学び、討論する中で、子どもにとってふさわしい英語教育とは?という問題を考える。 |
発達・発達支援学系領域
発達心理学特演 | 前期の特論で学んだ発達理論と発達支援論に関する理解を前提に、個々の発達障害の特徴やその原因論をめぐる最近の研究を詳しく学習する。さらに、発達のアセスメントの技法の実際や実施方法についての理解を深め、それらを踏まえて、文献による事例検討や、実際の支援現場での事例を取り上げた検討を行う中で、発達支援の具体的なあり方について自らの考えを深める。 |
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臨床心理学特演 | 子どもたちの適応上の諸問題について発達的に理解する方法と保護者・養育者を含めた支援の方法について考察するとともにその基礎的技法(アセスメント、心理面接の技法)のトレーニングを行う。 |
子ども臨床実習I | 子どもの発達支援の実際を、保育・療育・相談等の実習ならびにスーパービジョンを通して学び、具体的な支援方法についての力量を身につける。 |
子ども臨床実習II | 「子ども臨床実習I」の発展として、子どもの発達をその子たちの置かれた環境のなかでより詳細に理解することによって、また特定の発達の困難に特化してより専門的な療育の実際を学ぶことによって、子どもの発達支援の実践的な力量を高めることを目標とする。 |
認知発達特論 | 本授業では、現代発達心理学の最新の成果を学ぶことを通して、子どもの認知発達の過程を深く理解することをめざす。とりわけ、発達障害の認知的側面に対する科学的な洞察力を養うことによって、広い視野から発達支援に取り組むことのできる高度な能力を育成する。 |
認知発達特演 | 前期の認知発達特論で講じた内容の理解を前提に、各年齢期の認知発達の特徴とそれらの時期に対応する認知障害の問題を各論的に論ずる。常に最新の研究動向を視野に収め、それらの知見を生かして発達支援の具体的な方法を考えていくことのできるスペシャリストとなるための能力の涵養を図る。 |
児童福祉学特論 | 前期の認知発達特論で講じた内容の理解を前提に、各年齢期の認知発達の特徴とそれらの時期に対応する認知障害の問題を各論的に論ずる。常に最新の研究動向を視野に収め、それらの知見を生かして発達支援の具体的な方法を考えていくことのできるスペシャリストとなるための能力の涵養を図る。 |
児童福祉学特演 | 子どもの権利条約の成り立ちとそれをどう受け止めるかについて、子どもの貧困について、社会的養護のあり方について議論し、その上に立って、子どもの権利擁護の社会システム及び社会システム形成過程を概観したい。また、子どもの権利に対する子どもの権利擁護システム・社会的養護の果たす役割を考えたい。 |
情動・社会性の発達特論1 | 情動や社会性の発達に関する概念や理論についての理解を深める。また、これらの理論や概念から得られた知見を、情動や社会性の発達を支援する場面においてどのように活用するかについて自ら検討する力の涵養を目指す。 |
情動・社会性の発達特論2 |
情動や社会性の発達に関する概念や理論についての理解をさらに深めることを目的とする。この授業では、より専門的な知見について検討し活用する力を養うため、研究論文や情動・社会性を測定する尺度を講義形式で紹介し、適宜、グループディスカッションを行う。 |
言語発達支援特論1 |
現在の日本社会は、グローバル競争で経済力が低下し、他方で人口高齢化で福祉国家が膨張する中で、分権的な福祉社会を支える地域社会の復活が望まれている。地域支援特論1では、セーフティネット・公共圏・親密圏の視点から地域福祉の枠組みを捉え、今日の地域福祉の基本的な論点を整理する。さらに現在の社会変動(グローバル化と福祉国家と地域)を視野に入れた地域福祉の新たな動きを紹介しながら地域再生の具体策を考えていきたい。 |
言語発達支援特論2 |
「言語発達支援特論1」の発展として、言語発達への支援の方法を理解することを目標にし、障害特性を理解したうえでのアセスメントとその結果の解釈、さらには具体的な支援を実際の子どもの映像を見ながら理解する。 |
研究指導科目
子ども発達学特別研究I | ここでは修士論文の作成を最終目標とし、研究テーマに沿って問題意識を深め、関連領域の文献の読み込みとそのレビューを纏めるまでを行う。 |
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子ども発達学特別研究II |
個々のテーマに沿って研究方法を吟味し、調査・実験・観察・フィールドワーク、事例研究、資料研究等を行うことによって、修士論文を執筆・完成させる。 |